調達・購買の現場で日々奮闘されている方と話をすると、少なからぬ方(けっこう多い)から社内的な「地位」の問題が語られます。ほぼ全ての方が調達・購買部門は社内的な地位が低く、購買活動全体にマイナス影響が現れているんだそうです。

なぜか…
想定される3つ理由を考えてみました。

理由1:調達・購買部門がどんな仕事をしているか知らない

実際に仕事をする前、調達・購買部門(当時は「資材部」でした)がどんな仕事をしているのか、理解できていませんでした。調達・購買部門に限らず、社内全般の仕組みがよくわかっていない人が増えています。顧客ニーズが高度化し各部門の専門性が高まってしまった結果、日々の仕事にもさまざまな知識が必要となり、その習得だけで精一杯。同じ部門でも隣の担当者が何をしているか知らないといった話は、今やどんな企業でも「あるある」です。まして他部門で「購買」といえば、学校の購買部で文房具やパンを買ったなとか、「調達」でまず「資金」しか想定できない人が多勢でしょう。調達・購買部門の業務内容にまで考えがおよぶ人は極めて限られるはずです。したがって「地位が低い」のではなく、そもそも調達・購買部門を知らない、調達・購買部門ってなに?が実態です。

理由2:マイナス側面ばかりが強調

そんな調達・購買部門が、一躍注目を浴びる事態が訪れました。たび重なる大きな自然災害の発生により「サプライチェーンの断絶」が発生したのです。一国を襲った自然災害によって、たくさんの国の工場における操業に影響しました。

サプライチェーン断絶は、社外から購入する原材料や部品が、ほしい量とほしいタイミングで確保できない場合に発生します。調達・購買部門を「社外から原材料や部品を購入する」くらいには理解している人は、サプライチェーンの断絶によって生じる問題解決を調達・購買部門に求めます。しかし自然災害は「予測や制御のできない外的事由」です。それでも、調達・購買部門やバイヤは一生懸命事態の打開を図ります。問題は原因が自然災害であり、解決にはある程度の時間が必要である点です。

しかし納入を待つお客様を目の前にした営業部門や、従業員を遊ばせるわけにいかない製造部門から次々と催促されます。でもどんなに調達・購買部門やバイヤが頑張ってもサプライチェーンの断絶は解消されません。結果的に自然災害の結果、発生した問題の責任が調達・購買部門に残ってしまうのです。

理由3:「高く買っている」と思われている

もっとも深刻なケースが、調達・購買部門で購入している価格に、社内関連部門から「高く買っているのではないか」と、口には出さないまでも不信感をもたれている場合です。これまでの2つの理由とは異なり、直接的に調達・購買部門にマイナス影響が顕在化します。

よくあるのが「自分で買った方が安い」といった主張です。私は調達・購買部門で長く実務経験を有しています。まずバイヤーは「そういった場合もあるよね」と認めましょう。売買にまつわる情報の全てを調達・購買部門やバイヤーが掌握できません。たまにはビギナーズラックで、購入要求した部門が安価に買える情報をもっている場合もあるでしょう。そういった事態に直面した場合、バイヤーは「自分で買った方が安い」と主張する人から「教え」を請わなければなりません。

調達・購買部門とは、企業内で間違いなく買いのプロです。しかし「買い」は、別にプロでなくとも誰でもできます。したがって、たまたま安く買える情報を入手する機会に、調達・購買部門やバイヤーでなくとも、めぐり会う可能性はあるのです。

問題なのは、社内関連部門から「自分が買った方が安い」と、繰り返し主張されてしまうケースです。一度、社内関連部門からもたらされた情報は、継続的にウォッチして調達・購買部門/バイヤーの情報源として活用しなければなりません。バイヤーは「買い」にまつわる情報を収集し蓄積して、常に価格の妥当性を追求し、獲得した妥当性を社内関連部門へ説明して初めて信頼が得られる存在です。

それでは「購入価格」に妥当性をもたせるにはどうすればいいのでしょうか。

購入価格に「妥当性」をもたせ
購入価格情報を収集し蓄積して活用する

コストテーブルを活用した
価格査定法習得セミナー」

をご紹介します

価格妥当性とは、まず購買担当者が自分で購入価格に納得しているかどうかです。購入価格を決定している担当者として、自分で決めた価格を他者へ「妥当です」と言い切れるかどうか。

実は、人並み以上に情報収集をおこない、価格の分析をおこなっているバイヤーほど、自分の決めている価格に「疑い」をもっています。だからこそ「妥当です」とは言い切れないのです。

十分な知識を元にして、情報収集と分析をおこなったからこそ芽生える購入価格への不信感。この「不信感」との戦いがバイヤーの価格妥当性の源泉です。不信感を払拭するための戦いの過程を全て明らかにし、価格決定の承認をうける上司だけではなく、すべての関係者に明らかにする「見える化」への取組みが、妥当性確保の第一歩です。そしてもう一つ、購入価格に対する誤解を正さなければなりません。

バイヤーが日々決定する購入価格は、固定されていません。日々確実に変動しています。「変動」には、好ましい「下落」する場合と、避けたい「上昇」の2つあります。購入価格の決定には、最大限「下落」させる取組みと、最小限の「上昇」に留める取組みの実践が欠かせないのです。「下落」なのか「上昇」なのか。はたまた「維持」なのかを判断する材料が「情報」なのです。

今回ご紹介する「コストテーブルを活用した価格査定法習得セミナー」では、

1.サプライヤから提示される見積と過去の購入価格、原材料費や人件費のトレンドを踏まえた根拠ある見積の査定方法、査定結果をコストテーブルとして「見える化」するプロセスを学びます。

2.価格査定は「価格交渉の根拠」として活用するだけではなく、社内関連部門へ決定価格の説明根拠としても活用します。

3.また定量的かつ妥当性のある査定結果によって、社内関連部門やサプライヤとの確固たる信頼関係構築の基礎的条件としても活用します。

そして最終的には査定結果の透明性確保を目指し、サプライヤから見積を入手しなくても、購入価格の算出が可能となるバイヤーを実現へとつなげます。

「一難去らずにもう二難」多くの調達・購買部門が、購入品の確保、納期遅れ対応に加え、持続可能な調達といった新たな課題に苦慮する中、価格妥当性の追求に取り組む時間のないと嘆きの声が聞かれます。このテーマの悩ましさはいつも妥当性を追求しなければならない点です。日々の激烈な仕事のなかでも「価格妥当性の追求」に苛まれ、どうすれば良いかを模索していた、そして「価格妥当性を追求しよう」と考えていたなら、このセミナーに出席する意味は十分にあります。

いや、ここまで読み進めていただいたのなら、きっとテーマには関心をおもちなのでしょう。今回のセミナーには、際立った特徴があります。

出席する皆様の置かれた状況を踏まえて、

✔ できるだけ短時間に
✔ できるだけ簡単に実践可能な方法論

いうなればセミナー受講の翌日からすぐに使えるノウハウをお伝えします。お伝えするノウハウは、

1.自分で納得する方法
2.納得した根拠を説明資料化する方法
3.社内説明に活用する方法
4.サプライヤとの交渉に活用する方法
5.調達・購買業務の高度化に活用する方法

が含まれます。

☆開催概要
日時:2019年9月20日 (金) 10:00〜16:30
価格:40,000円(税抜き)
会場:東京都内(御出席の皆様にお知らせします)

講師:牧野直哉

2019年8月1日 オフィスにて

●なぜこれほど効果的で実践的なセミナーを開催できるのか

1.20年以上の調達・購買の実戦経験
伝統的な日本の大企業と、外資系中小企業、まったく購買力が異なる2つの企業の購買経験があります。

2.経験論を「理論化」
調達・購買部門での経験だけではなく、実際に学びの現場でもセミナーや講義を実践。海外、特にアメリカではビジネスパーソンが大学で実践的な講義をする例は珍しくないかもしれませんが、日本国内の調達・購買領域でビジネスの現場と学びの現場の双方で実戦経験を積み、かつ継続しているためです。

プロフィール:
未来調達研究所株式会社 取締役
神戸大学大学院経営学研究科非常勤講師


1969年東京生まれ 大学卒業
・重工業メーカーで発電プラントの輸出営業を経験後、資材部へ異動し、購買業務に従事。現在に至るサプライヤリレーションの礎を構築(初のサプライヤミーティング開催等)
・外資系機械メーカーで、アジア太平洋地域のサプライチェーン管理を担当。集中購買を徹底しサプライヤー数8割で購入額の9割の購入を実現
・神戸大学ではトップマネジメント講座の調達購買分野を実施
・内閣府防災担当の策定する東日本大震災後の企業/サプライチェーンの防災対策へのアドバイス
 著書:
「調達・購買戦略決定入門」「大震災のとき!企業の調達・購買部門はこう動いた―これからのほんとうのリスクヘッジ」「ほんとうの「調達・購買」実践マニュアル-社内の「まあいいや」業務を変える知識とノウハウ-」「製造業の現場バイヤーが教える! 調達・購買部門の<業務力向上>完全ガイド」(日刊工業新聞社)
「購買・調達の基本と仕組みがよ~くわかる本」(秀和システム)

■セミナープログラム
 
トピック1 価格査定の基本
【本章の概要】価格査定の目的と効果を理解し取り組むべき明確な根拠を理解する
(1)価格査定の定義と期待効果を正しく理解する
(2)価格査定「複線化」の重要性
(3)価格査定の発展モデル
(4)価格査定方法を学ぶ ~見積書通りに決定する

トピック2 自社蓄積データと比較 コストテーブル作成法
【本章の概要】考える前にまずコストテーブルを作成して、購入価格に関する様々な疑問点、問題点、課題を洗いだす
(1)コスト積算の基本をザッと復習する
(2)見積書一枚でコストテーブルを作成する方法
(3)価格を決定する「キーファクター」を見極める方法
(4)価格に影響する「サブキーファクター」を盛り込む方法
(5)数量背景によって「変動するコスト」をつかむ方法

トピック3 価格査定の高度化
【本章の概要】作成したコストテーブルの発展的活用法を学ぶ
(1)外部データを活用する
(2)コスト構造分析
(3)見積(コスト)積算
(4)査定基準の設定

トピック4 査定結果を「鍛える」方法
【本章の概要】査定結果を実務で活用しながら鍛える=実態へと近づけていく
(1)データを加えたら生まれる「矛盾点」から学ぶ
(2)購入価格に影響する「キーファクター」を見極める
(3)自分で見積書を作成する方法
(4)コストの「ばらつき」が意味する本質をつかむ

トピック5 査定結果を調達・購買業務に「活用」する方法
【本章の概要】査定結果を購入価格の妥当性以外に活用する方法を学ぶ
(1)査定結果を使ってサプライヤーマップを作成し最適発注先を選定する
(2)妥当性のあるコストをベースにチャレンジングな「指値」算出法
(3)査定結果を活用して、コスト削減活動へと展開する

トピック6 査定結果を「交渉」に活用する方法
【本章の概要】:査定結果を交渉に活用して数値の信憑性を高める方法を学ぶ
(1)「安くしろ」ではなく「おかしい」「教えてください」と迫る
(2)根拠を明確に主張できる査定結果に必要なデータ
(3)サプライヤとのコミュニケーションからデータを収集する方法

トピック7 査定結果を活用しバイヤーのスキルアップを図る方法
【本章の概要】:バイヤー業務の各場面で査定結果を活用する方法を学ぶ
(1)急ぎの見積でサプライヤに武器を与えない方法
(2)サプライヤ戦略へ査定結果を活用する方法
(3)査定結果を利用した調達・購買戦略立案

 

●セミナー出席後の具体的な想定効果
 
調達・購買部門は、購入価格に責任をもたなければなりません。このセミナーを受ければ「価格妥当性確保」へどうアプローチすべきかが理解できます。そして妥当性の確保を継続する方法論の、日常業務における実践方法が理解できるはずです。

 

「購入価格妥当性確保」をスタートさせる
実践的なノウハウを獲得する
濃縮した時間をお約束します

追伸1
このセミナーは、これまで取り組みたかったけど、なかなかきっかけがなかった方を対象にしています。気づかずに価格妥当性の確保から目をそらしていた現実の改善に足を踏み出していただき、自分が納得、次に上司と部門が納得、その上で社内関連部門を納得させる術学び、調達・購買部門の地位改善を一刻も早く実現していただきたいと強く願っております。

追伸2
したがって、できるだけ多くの知識やノウハウをお伝えします。ワークショップやケーススタディはプログラムには含むモノの、実践は会社で御自宅でおこなってください。そのための特別なフォロー方法もセミナー中に御提案します。私は実務家であるバイヤーの皆さんに、手を動かして価格妥当性の確保と継続的な追求を実感していただきたいと思っています。

ご出席いただければ、
行動できる「ノウハウ」と「ツール」が手に入ります

最後までお読みいただき、有り難うございました。