青焼きやコピーのコストテーブルが作成された時代と現代のもっとも大きな違いは、IT技術の勃興です。過去のコストテーブルには、まさに職人技ともいえる精密なグラフが描かれています。それも手書きで、です。ところが今は、誰もが表計算ソフトを活用すれば、同じグラフを数秒で画面に示せます。そして、データを除いたり、あるいは加えたり、違う種類のグラフで表現したりが、ソフトの活用方法を学ぶだけで獲得でき過去と大きな違いです。この文章を読んでいるパソコンにはExcelやNumbersといった表計算ソフトが搭載されていませんか。これは、今あるツールですぐにコストテーブルが作成できる事実を私たちに突きつけています。
もちろん、私が使っているテクニックそのものは、それなりに時間を費やしてスキルを体得し、データを蓄積してきました。しかし、データさえ準備できれば、過去作成したときとは比較にならないくらいに短時間でコストテーブルの作成が可能です。驚くくらいに簡単に見栄えの良いコストテーブルをグラフで表現できます。
「見栄えの良い」コストテーブルやグラフにはどんな力があるでしょうか。それは、あなたが蓄積したデータにもとづいて、あなたの主張に「説得力」や「妥当性」といった、バイヤーには何にも代え難い「信頼」を獲得できるのです。調達・購買部門において、決定した購入価格に説得力があり、信頼できるといった評判は、優秀なバイヤーの証でもあります。
でも、そんなすばらしいコストテーブルも、内容の妥当性を維持するのは難しいといわれてきました。難しいが故に、陳腐化を招き、皆がコストテーブルから離れていったのです。
考えてみて下さい。なぜ陳腐化したのか。それは過去のコストテーブルの「形態」にあります。私たちがこれまで目にしてきたコストテーブルは「紙」であるが故に、現代の変化の激しい購入価格を見極めづらくなっているのです。言うなれば、紙のコストテーブルは「定価」時代にマッチしたメディアでした。しかし現在は「時価」の時代です。最新・最良の購入価格で買うためには、紙のように固定化したコストテーブルでは実用性に乏しいのです。
この点も、IT技術の進化が、私たちに強力なツールを与えてくれました。ExcelやNumbersといった表計算ソフトは、何千、何万といったデータを元に、私たちに常に最新のコストテーブルを提供してくれます。
そのためには、新たな見積を入手したり、価格交渉を実践したりするときには、常にコストテーブルに問いかける習慣やクセをつければ良いのです。そうやってただ黙々と誰にも知られないような取り組みが、あなたに妥当性と信頼感を授けるのです。
- 交渉時に価格で惑わされなくなりました
- 自信をもって購入価格を説明できるようになりました
- サプライヤーと対等に話ができるようになりました
つまり、コストテーブルの作成が、サプライヤーの営業パーソンとの交渉だけではなく、社内のあなたの立場をも高めてくれるのです。 |