今から二十数年前、購買部門に配属され初めてサプライヤの工場を訪問したときの経験、とても恥ずかしく屈辱的でした。しかしその悔しさがあったらかこそ、バイヤに必要なノウハウに特化した今回のセミナーの開催を決めました。セミナーの中でお伝えするのは申し訳ないので、この場でお伝えします。私を屈辱の底へ貶めたのは、こんな言葉でした。
「牧野さん、本日の工場御視察の全体を通した御講評をお願いします」
何も言えませんでした。良いとも悪いとも。ただ当日対応のお礼の言葉のみ。今思えば、バイヤーとしての準備を全く行わずに、ただただお客さま気分で工場訪問した私のミスでした。サプライヤに誘われるまま、同僚や上司から「サプライヤの工場には行った方が良い」と言われるがままに出張してしまったのです。
「講評」とは「指導的立場から説明を加え理由をはっきりさせながら批評すること」です。バイヤは、お客さま気分ではなくサプライヤに指導的な立場から物言う必要がある。私は専門的な知識を有するサプライヤに、どうやって指導的な立場を確立するのか。何を伝えれば良いのか。今日まで続くサプライヤ訪問に必要なノウハウ確立がスタートしました。
まず、工場を訪問して「講評」を行うには、工場に関する「知識」の仕入れが必要です。当日工場を見てその場でチェックしてポイントを指摘するのは、私のような文系/事務系バイヤには至難の業です。したがって、ある程度事前に訪問する工場の実態を想定する取り組みが必要と考えました。
準備内容を試行錯誤するうちに、多くの場合に自社のサプライヤ情報が最新に更新されていないことがわかりました。わざわざ工場を訪問して確認する内容ではありません。しかし、せっかく工場を訪問するわけですから、できることはすべて行う姿勢と実践が重要だと考えるに至りました。
また、何百回と工場訪問を繰り返すうちに、効率的な工場訪問スケジュールと実施内容をある程度、定型化にも成功しました。同じサプライヤを何度も訪問できません。一回の訪問で、バイヤ企業に必要な、できるだけ多くの情報を収集するための方法論を確立できました。
そして準備には、サプライヤで何を見るのか、確認するのかと同時に、サプライヤへ何を伝えるのかも重要なポイントだと考えるようになりました。普段話をする営業パーソンだけではなく、工場の上層部や関連部門の担当者へバイヤ企業の考え方や今後の見通しを伝える絶好の機会なのです。
この準備も最初は手探りでした。しかし、一度行った準備は、他のサプライヤでも流用可能であり、やはり準備は裏切らない確信を得ることができました。
いよいよサプライヤ訪問の始まりです。さてサプライヤにはどうやって到着しましょうか。到着?!サプライヤの工場訪問は、到着方法から始まります。ベストな到着方法をご存じでしょうか。工場が地方都市に所在する場合、交通の便が悪いと最寄り駅まで迎えに来てくれるケースもあるでしょう。確かにコストも発生せずに楽チンですが、せっかくの機会を失う結果にもなります。バイヤの五感をフルに働かせるためにも、まずはベストな到着方法から話を進めます。
そしてサプライヤに到着し会議室や応接室に通されました。あなたが着席する位置に会社案内他、資料が準備されています。果たしてサプライヤ指定の位置はベストでしょうか。どんな判断基準で、どこに座るべきでしょうか。ビジネスマナーの講習では、さまざまな場面で着席位置の上座・下座といった解説がおこなわれてきました。セミナーでは重要な目的意識を提示して導かれる着席位置を示します。顧客だから上座にといった考え方を打破します。
工場訪問のメインイベントである工場見学です。フツーのバイヤーは、サプライヤの設定したルートで工場を見学します。しかし私たちは違います。工場訪問を申し入れるときから、絶対に外せないリクエストをサプライヤへお願いします。リクエスト通りのルートで工場を見学してどう感じるのか。具体的な見方もお伝えします。
続いて、工場ではさまざまな方法で生産が行われています。一般的な生産方法は、量産工場におけるライン生産方式? いやこれからの時代は、セル生産や個別リソースを組み合わせておこなう生産に対する知識も必要です。そして、どんな生産方式であったとしもチェックする方法にはセオリーがあります。工場見学時に必須の5つのチェックポイントについて、実際に口に出してサプライヤに問いかける形をを理解します。セミナーを受講した後、すぐに実践可能です。
そして工場見学後に行う質疑応答や、質疑応答から新たな課題や問題意識を共有する方法論ももちろんセミナー内容に含まれています。このセミナーを受ければ、工場訪問に必要なスキル・ノウハウがすべて習得できます。
サプライヤの工場訪問翌日、まずは対応してくださった皆様へのお礼の気持ちを伝えます。ここでも感謝の気持ちを伝えるだけではなく、ちょっと欲張りな取り組みにチャレンジします。
重要なポイントは、サプライヤ訪問や工場見学を「行った」事実だけに終わらせない点です。訪問後、サプライヤとの関係は良化し、よりメリットを生む購入を実現する基礎的条件を強固にしなければなりません。
「工場の見方(みかた)」とは、多くの企業で事務系/文系バイヤが直面する
サプライヤの工場のどこを
チェック・確認すればいいのか
に、答えを示す日本で唯一のセミナーです。セミナープログラムの進行も、あたかもサプライヤーを訪問しているかのような順序立てで進めます。このセミナーで学んだエッセンスは、すぐに皆さんのサプライヤ訪問に活用できる価値ある4時間になるでしょう。
牧野直哉が行うセミナーは、全て調達・購買の現場で培ったノウハウを元に構成しています。コンサルティングやセミナー講師をしながらも、調達・購買の第一線で活躍する意欲ある皆さんとの交流を通じて、その手法のブラッシュアップを続けています。この点が、ただ英語の文献を翻訳し資料だけを作成するコンサルトは大きな違いです。調達・購買部門とバイヤーの「現場感」に敏感な私だからこそ実現できるセミナーなのです。
多くの調達・購買部門が、近年顕著な購入品の確保、納期遅れ対応に加え、持続可能な調達といった新たな課題に取り組むときにも、サプライヤの実態がわからずに対応に苦慮する実例を多く目にしてきました。このテーマの悩ましさは、サプライヤの工場を知らなくても、訪問経験がなくても購入できてしまう点です。しかし、日々の激烈な仕事のなかで、サプライヤの実態掌握に一抹の不安を抱えているなら、そして何よりも自分たちの事業が大きな変化に直面しサプライヤと協力して乗り越えたいと切に願っているなら、このセミナーに出席する意味は十分にあります。
いや、ここまで読み進めていただいたのなら、きっとテーマには関心をおもちなのでしょう。今回のセミナーには、際立った特徴があります。
出席する皆様の置かれた状況を踏まえて、
✔ できるだけ短時間に
✔ できるだけ簡単に実践可能な方法論
いうなればセミナー受講の翌日からすぐに使えるノウハウをお伝えします。お伝えするノウハウは、
1.サプライヤ訪問アレンジと事前準備
2.サプライヤ工場訪問
3.訪問後のフォローアップ
が含まれます。
☆開催概要
日時:2019年11月29日 (金)
13:00〜17:00
価格:40,000円(税抜き)
会場:東京都内(御出席の皆様にお知らせします)
講師:牧野直哉
2019年10月24日 オフィスにて
●なぜこれほど効果的で実践的なセミナーを開催できるのか
1.20年以上の調達・購買の実戦経験
伝統的な日本の大企業と、外資系中小企業、まったく購買力が異なる2つの企業の購買経験がベースです。まさに調達・購買の現場で起こっている現実が原点です。
2.経験論を「理論化」
調達・購買部門での経験だけではなく、実際に学びの現場でもセミナーや講義を実践。海外、特にアメリカではビジネスパーソンが大学で実践的な講義をする例は珍しくないかもしれませんが、日本国内の調達・購買領域でビジネスの現場と学びの現場の双方で実戦経験を積み、かつ継続しているためです。
プロフィール:
未来調達研究所株式会社 取締役
神戸大学大学院経営学研究科非常勤講師
1969年東京生まれ 大学卒業
・重工業メーカーで発電プラントの輸出営業を経験後、資材部へ異動し、購買業務に従事。現在に至るサプライヤリレーションの礎を構築(初のサプライヤミーティング開催等)
・外資系機械メーカーで、アジア太平洋地域のサプライチェーン管理を担当。集中購買を徹底しサプライヤー数8割で購入額の9割の購入を実現
・神戸大学ではトップマネジメント講座の調達購買分野を実施
・内閣府防災担当の策定する東日本大震災後の企業/サプライチェーンの防災対策へのアドバイス
著書:
「調達・購買戦略決定入門」「大震災のとき!企業の調達・購買部門はこう動いた―これからのほんとうのリスクヘッジ」「ほんとうの「調達・購買」実践マニュアル-社内の「まあいいや」業務を変える知識とノウハウ-」「製造業の現場バイヤーが教える!
調達・購買部門の<業務力向上>完全ガイド」(日刊工業新聞社)
「購買・調達の基本と仕組みがよ~くわかる本」(秀和システム)
■セミナープログラム
1.工場見学準備
【本章の概要】具体的な工場訪問・見学準備方法を学びます
(1)工場見学のトレンド
(2)工場見学の目的
(3)バイヤ訪問位置づけの示し方
(4)サプライヤ訪問アレンジ
(5)事前情報収集
2.工場見学実践 1
【本章の概要】工場訪問の前半のポイントを学びます
(1)サプライヤ到着方法
(2)到着後対応
(3)工場見学方法
3.工場見学実践 2
【本章の概要】一般的な工場のチェック方法を学びます
(1)5S確認
(2)掲示・表示の確認
(3)工程形態ごとの確認方法
(4)5つの確認ポイント
①生産指示方法の確認
②工程ごとの作業完了方法の確認
③作業員管理方法
④設備メンテナンス
⑤検査機器メンテナンス
4.工場見学後対応
【本章の概要】工場訪問後のフォロー方法を学びます
(1)工場見学後の打ち合わせ
(2)工場見学翌日の対応
(3)サプライヤリレーション構築への展開
(4)改善活動への展開とフォローアップ
●セミナー出席後の具体的な想定効果
調達・購買部門のバイヤは、社内の誰よりも深くサプライヤを理解しなければなりません。このセミナーを受講すれば、サプライヤ理解の第一歩である工場訪問・見学にどうアプローチすべきかが理解できます。
「工場訪問・見学」の実践的なノウハウを
獲得する濃縮した時間をお約束します
追伸1
このセミナーは、不安に苛まれていたけどその払拭になかなかきっかけがなかった方を対象にしています。訪問するなら誰でもできます。サプライヤを訪問して自分たちに有効な情報をどれだけ獲得できるか。どれだけサプライヤの工場で働く皆さんと建設的な会話を実現できるかが、バイヤとしての将来の決定にもつながるでしょう。
追伸2
したがって、できるだけ多くの知識やノウハウをお伝えします。実践は会社や御自宅でおこなってください。そのため具体的な方法もセミナー中に御提案します。私は実務家であるバイヤーの皆さんに、真の安心を実感していただきたいと思っています。
ご出席いただければ、
行動できる「ノウハウ」と「ツール」が手に入ります
最後までお読みいただき、有り難うございました。