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『時は金なり』の能天気さ
お金をもらうのは、嬉しい。でも、継続的にお金をもらうのは、もっと嬉しい。
この世の中は、「仕事を獲得する」ということにばかり注力されている。しかし、より重要なのは取引が始まったあとに、両社で「取引ができて良かった」という満足度を上げていく努力を怠らないことだ。
好感は、さらに次の仕事を呼び、逆に不満は、次の仕事の機会を奪っていく。北京オリンピックでも分かるように、誰しも一回だけ注目される、活躍する、のはたやすい。問題は、その活躍を継続できるか、だ。継続的に活躍し続けるには日々の鍛練と努力が要る。
現在、営業テクニックについての本がたくさん出版されている。でも、その営業を「受ける」私のような製造業のバイヤーからしてみると、「営業を獲得した後に、ちゃんとしてくれる」取引先をこそ求めている。ただし、求めているのは、そんなに難しいことではない。
私が見る限り、営業マンであれバイヤーであれ、「約束を守る」という基本ができていない人がほとんどだ。だから、それを守るだけで、他社(他者)に比べて優位に立てる。
仕事をしていて信頼を失墜させる原因の9割が「期限を守らない」という一点に集約される。「ギリギリまでがんばることが、誠意と思いました」と、期限を過ぎて言ってくる人がいる。このテの人は、期限前に「約束期日を守れそうにない」と伝えることが本当の誠意であり、遅れることによって相手がどれだけ損失を被るか全く無自覚だ。
また、逆に、営業マンは、期日前に提出したにも拘わらず、即答でお礼程度も述べてこないようなバイヤーとは仕事を考え直した方が良い。
「時は金なり」という諺がある。これは、時間を金程度と同等に並べている、誤ったフレーズである。どう考えても、お金よりも時間の方が大切だ。オリンピックのように0.1秒を争っている世界がある一方、同じプロとして時間に無頓着な人は、これから生き残れない。