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あなたから変化を起こし、社内で目立つ ~ 不条理と業務(1)
「なんでこんな役に立たないモノを持ってきたんだ!バカヤロー!!」
2月のおそろしく寒い日、私は秋田の空港にいた。
空港の自動ドアが開くと雪が舞い、とても持ってきた1枚のコートで耐えることの出来る寒さではなかった。ビチョビチョの雪で私のクツは汚れ、スーツから伝わってくる冷たさで悲しくなった。
なぜ秋田に来ていたか。
それはどうしても納期に間に合わない製品をバイヤーである私が自ら取りにきてたからだ。モノは電源装置だった。
タクシーに乗って、取引先の工場まで向かう。そしてただでさえ忙しい相手の生産管理担当者と交渉する。
「あんな納期ではとても製品などできない」
そう言う担当者にひたすら頭を下げて、生産を急いでもらう。そもそも私の社内では、その製品を使うことになって、手に入れるべき納期が極端に短かっただけであるにもかかわらず、バイヤーである私だけの責任のようにされていた。
生産現場の隣の会議室で5時間待ち、やっと検査工程の終了したその電源装置をバッグの中に入れ、手短なお礼を述べタクシーで空港に戻っていった。
手がかじかんでいるのに、急いだせいでスーツの中は汗でびっしょりだった。そこから予約の取れる、最も職場に近い空港に乗り入れ、翌朝自社工場に持っていった。
しかし、動作検査をするとその電源装置は全く動かなかった。何回か試験しても全く動かなかった。
揺れながら持って帰ってきたせいか、あるいは完成したときからの不良か分からなかったが、いずれにせよ全く動かず、受け入れ検査の担当者は、一言こういった。
「なんでこんな役に立たないモノを持ってきたんだ!バカヤロー!!」
もう悔しくて泣いてしまいそうだった。
めげそうで、仕事を辞めてしまいそうだった。