あるFAXの受信に驚き、暗澹たる気持ちになるバイヤー

あるFAXの受信に驚き、暗澹たる気持ちになるバイヤー

最近では情報の授受の主役はメールで、次が電話。FAXはその次くらいの感覚だ。実際に仕事をしていて、FAXを操作しない日の方が多いし、メールの送受信で大抵のことが事足りてしまう。

昨年の夏から、ほんとうの調達・購買・資材理論という私信での有料マガジンの発行をおこなっている。実は、この有料マガジンを立ち上げるまでに、一緒に文章を書いている坂口孝則さんとは一度も会わなかった。全てメールで事足りたのである。

驚きのFAXとはこうだ。ある団体より私がこだわって参加を続けている催しの周知方法変更についての内容。従来は郵送でおこなわれていたが、平成22年度からファックスでおこなうという。ファックスを送った主旨を、事前に登録されているファックス番号の確認としていた。

ちなみにこの文書は、最低でも500社には送付されている。実際はもっと多いはずだ。そして、このFAXに高らかに謳われている内容を数字で表すとこうなる。500社に一斉に連絡するとの前提での発生コストである。

● 平成21年度:郵送

郵送費用 :@ 80

文書の印刷(コピー)費用:@ 10

封筒 :@ 2.16(根拠はこちら

封入費用 :@ 15

合計 @107.16 ×500=53,580

● 平成22年度:FAX送信

電話代 :@10

FAX送信の手間 :@15(封入と同額とみなす)

合計 @25 ×500=12,500

実に70%を超えるコスト削減である。素晴らしい~といえばそうだが、上記に記載された費用は、メールの送信であればまったく発生しない費用である。ちなみにこの団体には、これ以外にも時代錯誤も甚だしい旧態依然としたやり方が多く残っている。非常に重要で尊い活動をおこなっているだけに、ほんとうに残念でならない。

ちなみに、その催しに参加して名刺交換をおこなう人の9割以上の名刺にはメールアドレスが記載されている。実際のお会いして以降のやり取りも、メールが中心となる。それで全然困っていない。

ここからは想像だ。この団体はITリテラシーの未熟な部分への配慮として、いまだFAXを使用している。Eメールの使用はまだ一般的でないということを前提にだ。確かにこんな風にブログを書いている私には、大きな違和感を感じさせても、きっと、その催しに興味がある人たちにとって、パソコンを使用して、メールを発信するということは一般的でないということだろう。

もったいない。私はそう思う。

今、私が簡単に買うことができるPCは、WindowsパソコンとMacの2種類になる。両方の名前がなぜWindowsなのか、Appleなのかについては諸説ある。GUIとしての先進性はこれまでAppleに軍配が上がるとされているが、私はWindowsという名称はほんとうに素晴らしいと思っている。特に、ブロードバンド化された通信環境によってインターネットへ接続できるPCの持つ可能性を表現するとすれば、AppleでなくWindowsだと思う。パソコンは世界への窓になる可能性を秘めているのだ。理論的にも、現実的にも、インターネットを介して、世界中の個人、法人とも情報の授受か可能になる。

もし、パソコンを持っていない、メールが使えないことを基準に、その団体が旧態依然とした運営を継続するのであれば、今後の見通しは暗い。時代錯誤である。メールで情報を発信するという機能のみならず、いろいろな可能性が詰まっているのがPCだ。自分で積極的に、能動的に使えば、かなりいろいろな事が実現できる。確かにITリテラシーの未熟な皆さんへの配慮は不可欠だ。ただ、理解しているだろうか。ITリテラシーの未熟な皆さんへの配慮が、ある程度使っている私に大きな負荷を強いていることを。ちなみにその団体が主催する催しの申込書は未だ手書きである。毎回記入する内容はほぼ同じであるにも関わらずだ。

こんなことを考えていると、もう日本はどうなっちゃうんだろうかと思っている。ちなみに、FAXを送ってきた団体は、全国に存在する。そして送付したところは、比較的先進的でアグレッシブといわれているのである。主催する催しへも、他の団体から見学者も訪れるほどだ。

これを、井の中の蛙といわずして、なんと言おうか。

 

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