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みんなの共栄(1)
それは、日本での異常な製品種類の多さと、それに伴う発注の複雑さだ。
一つの製品でよいところを、日本では派生製品をいくつも出す。
クルマだって電化製品だって、同じ製品のように見えて、実は多くの派生が存在する。重電分野であれば、客先に完全にカスタマイズされた製品ばかりを作り上げるから、それを構築する部品群といったら天文学的になってしまう。
いや、日本製品の種類の多さを批判する気はない。
その派生の多さの過剰が日本の製造業をトップに押し上げた要因の一つであることは間違いないからだ。
ただ、その部品の多様さによって、相当なひずみを生じさせていることも間違いない。
少量ばかりを発注する企業と、受注する企業の大変さを外国に住んでいるバイヤーは想像もつかない。
前述の企業は、受注数の変動があまりにも激しく、こちら側の発注数に応じて人員を調整せざるを得なくなっていった。
つまり、工作員を社員として雇用するのは極力抑え、大部分をパートタイムか派遣に頼っていた。毎月毎月、その臨時社員たちが押し寄せては去っていく。
だが、こちらの発注数といっても、そんなに前からはっきりしているわけでもない。事前に情報は流すものの、客先の要求によって寸前で発注数が変化してしまうこともある。
さらに臨時で雇った社員が、雇ったその日から業務を完全にこなせるわけでもない。
しかも、臨時で雇った社員の中にはモノを盗んで帰るヤツもいたらしい。
その企業は多様な製品受注を売りにしていたはずが、その強みゆえに受注を拡大した結果、製品の品質の大幅な低下をもたらしていたのだ。
負のスパイラルに入った企業はもがいていた。
そして、こう言ってしまうのだ。「もう、どうしようもないんですよ。こんなに種類があったら、現場はついていけません」