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やさしい未来予測の方法
人はなぜ、未来を知りたがるのか。身近な未来予測である天気予報は、悪天
候から身を守る「メリットが」あります。それでは、いますぐできるやさし
い未来予測方法をご存じでしょうか。
それは「単純予測」と呼ばれます。今回の値を予測したい場合には前回の値
を用い、次回の値を予測したい場合には今回の値を用います。複雑な分析方
法を採用した場合と、的中率は遜色(そんしょく)ないと言われています。
4月から新年度がはじまる企業では、すでに2015年度の予算は決まって
いる時期ですね。「昨年と同じ」で予算を組み決定した方は、時間をかけず
に賢い方法を採用したのです。
ただ、長く「前年度と同じ」を継続している場合、注意が必要です。10年前
と20年前といった比較をすると、1年ごとでは小さかった変化も、大きな変
化へと変貌(へんぼう)します。1990年代、需要不足に悩まされたもの
の、原料価格が比較的低く推移し、調達購買部門ではメリットを生んでいま
した。2000年代は、需要は拡大し原材料価格は高騰、2008年にはリ
ーマンショックによって著しい需要不足に悩まされました。1990年代を
単純に延長しただけでは2000年代は対処できない時代だったのです。
そして、リーマンショックや東日本大震災など、大きな出来事には事象に則
した対応が必要です。大きく報じられていなくても企業にとって大きなター
ニングポイントが存在します。たとえば「ブレント・スパー事件」。199
5年の出来事でした。
海上油田で使用される巨大なブイ(浮標)をブレント・スパー(Brent Spar)
と呼びます。北海油田で使用されたブレント・スパーの処分計画を、所有者
である企業が外部機関と共に検討しました。最終的に、陸上処理よりも低い
リスク・安価な費用を根拠に、海中投棄計画を立案、英国政府に提示し、1
995年2月に承認されました。
同年5月、NGOであるグリーンピースの活動家が、ブレント・スパーの海中
投棄計画に異議を唱えました。グリーンピースはブレント・スパー所有企業
の製品ボイコットを欧州全土に呼びかけ、売上を半減。最終的には、企業イ
メージへの影響を考慮し、海中投棄計画は断念されました。
NGOの呼びかけに市民が反応し、一旦おこなわれた決定が覆ったこの事件は、
CSR(企業の社会的責任)を欧米企業に喚起する重要な役割を果たしました。
この事件から、環境意識の高まりと、問題解決に際して必要となる市民との
真摯(しんし)なコミュニケーションを学んだのです。現在われわれが取り
組んでいるCSR調達の源流もこの事件にあります。
日本のCSR/CSR調達における問題点は、こういったグローバルでの象徴的な
出来事が、理解されないまま進められている点です。CSR/CSR調達は「不祥
事を起こさない取り組み」ではありません。