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アジアメーカーは脅威なのか
かつてある講演を拝聴したことがある。壇上の男性は「これからアジアのメーカーが脅威になります」と何度も叫んでいた。その根拠となるのが、アジアの開発力だ。これまで、日本のメーカーの開発力にとても追いつけないと考えられていた彼らのそれは、もう日本並みに近づいているという。
しかも、開発期間も短縮しているという。アジア全土に張り巡らされたネットワーク網を使い、開発を分担し、あっという間に製品を作ってしまうのだとか。そこで、その男性が紹介してくれたいくつかのメーカーをあとで調査することにした(固有名詞はさすがに書けないが)。
すると、そのメーカーが作っていたのは、私が見る限り完全に日本メーカー製品の模倣だった。明らかに日本のXX社のSUV、○○社のスクーター、あるいは△△社のデジタル機器……、私は驚いた。
なるほど、中国では儒教文化があるために、日本人の感覚の「模倣」とは相容れない。彼らは、尊敬する対象を真似することで意を表す。だから、良い意味では日本製品が彼らに尊敬の目を持って接されていると思うこともできるだろう。
しかし、私は別の感想を持った。「単なる真似じゃん」と。おそらく、これは検索エンジンと既存の新聞社の関係にもあてはまる。さも対立しているかのように思われているこの構図は間違っていると思う。おそらく、検索エンジンは、既存の新聞社に「絶対に潰れてほしくない」と思っているのではないか。なぜなら、自分たちが引用する情報源がなくなってしまうからだ。
その意味では、アジアメーカーにとっては、日本は「儲かってほしくないけれど、潰れてほしくない対象」なのかもしれない。模倣先として日本の役割を定めているのかもしれない。それは、良いことなのか悪いことなのか。おそらく好ましくはない。では、とするならば、アジアメーカーが模倣できないような高付加価値で高技術の製品を作るしか無いだろう、という凡庸な結論ではあるけれど。