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アジャイル経営と寄らば大樹のあいだで
現在、多くの企業の合併が相次いでいる。その理由は「マスメリットの追求」「効率化」「企業価値向上」という、これまでもよく聞いたフレーズだ。
かつて、分社化がブームになったことがあった。「複雑な市場環境において、図体が大きすぎるのは問題だ。だから、アジャイル(機敏)な経営を第一にするためには、小さくそしてスマートにならねばならない」というのが、当時の理屈だった。
なるほど、分社化も合併も、それぞれどんな言い訳をもつくることができる、という皮肉を申し上げたいわけではない。ここに見られるのは、きわめて現代的な企業合併のあり方である。
・かつての見方:「巨大」=「意思決定が遅い」、「小さい」=「意思決定が速い」
・これからの見方:「巨大」=「意思決定が速い」、「小さい」=「業務効率が悪い」
というパラダイムシフトがある。
考えてみるに、共通の作業を各社がやるよりも、まとめてやったほうが効率は良い。また、その効率化によってコア業務に特化することができれば、企業価値はあがるはずである。そんな考えればわかること、を具現化できる時代がやってきた。その具現化には、SSC手法の瀰漫や、IT、グローバル化があるだろう。これまでよりも、「巨大」=「意思決定が速い」、の等式を成立させるツールも増えてきた。
そこで、やはり問題にしたいのは、効率化の果てに、どれだけの社員が生き残っていけるかということだ。大大企業が生まれ、そして効率化していけば、当然ノンコア業務しかできない社員はいらなくなる。実際に、「ほとんどの社員は不要ではないか」という悲観論ともいうべき感想を関係者から聞いた。
アジャイル経営が大企業にも浸透していったとき、私たちの価値はどこにあるだろうか。またしても、事象は個人の問題に結びついていくのだ。