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アップル流のサプライヤー管理は世界を制するのか
先日、ニュースを見ていたらアップル流のサプライヤー管理の優位性を述べていた。曰く、技術力のあるところは、技術的のないところと区別して管理しているという。具体的には、前者にはコスト削減要請を緩めて、後者には通常通りのコスト削減要請を行っているという。
私にはコスト削減要求率に差をつけることが素晴らしいことかはわからない。私は、技術力に応じてではなく、製品特性に応じて(すなわち製品の工程特性に応じて)コスト削減要求率は変えるべきだと思う。
しかし、である。このアップルのやり方が、現場バイヤーの直感とあっていることも事実だ。現場のバイヤーは「すべてのサプライヤーにまったく同じコスト低減率をお願いするのは無理があるよなあ」と心では思っている。技術的に優れているところが供給「してくださっている」のであれば、高い要求ができないことも普通だ。でも、上司からは要求されるので、しかたがなくやっているのである。
だから多くのバイヤーが「そりゃいいよなあ」と思ったに違いない。自社のやり方と比べて、アップルのやり方が当然だと感じているからだ。
私はアップル流のやり方が世界を制覇するかどうかまではわからない。ただ、日本企業も、サプライヤーに応じた緩急をつけねばならないだろう、とは思う。現在は、関係会社かどうかとか持分法適用かどうか、とかしか考えられていない。その管理メッシュをより細かくするのである。
より具体的には付加価値分析によって、限界利益を明らかにし、コスト削減要請率に差をつける……などの方法があるだろう。企業独自であれ、その緩急のやり方について議論を深めねばならない。
そうではない限り、いつもの光景がずっと続くことになる。それは、バイヤーも無理だと分かっていながら「今年も5%下げてくださいよ」と依頼し、サプライヤーもいつもの儀式とわかって「はい。鋭意努力します」という、あの茶番劇のことだ。