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アディダスの衝撃。調達構造の激変
先日、日本ではさほど大きく報じられていない、しかし重要な発表がありま
した。アディダスです。同社は、来年(2017年)にロボットが完全生産
するシューズを発売するとしました。
現在、ファストファッション等のアパレル、あるいはスポーツ関連商品は、
アジアや新興国で生産するのが当然です。その理由の大半は人件費の安さで
す。とすれば、人が関わらない生産工程だとすれば、その調達地図はどう変
わっていくでしょう。
アディダスは、ドイツにその新鋭工場を設立するとしました。しかも、名前
がかっこいい。スピードファクトリーです。ポップアートの巨匠アンディ・
ウォーホルは、じぶんのアトリエを「ファクトリー」と呼びました。アディ
ダスは、先端デザインでモダンな商品を、このスピードファクトリーで生産
します。
現在の縫製工程は、それらがロボットによる自動工程に変化します。なによ
り、需要地の近くで生産できることはメリットでしょう。ファストファッシ
ョンでも、販売地の隣接国で生産する例があります。しかし、アディダスの
ように完全自動化すると、そのメリットは計り知れません。
同社は、ドイツだけではなく、他国でもスピードファクトリー化を推進する
ようです。
私たちは、新興国の労務コストが上昇し、それゆえに生産回帰が起きるもの
だと信じていました。あるいは、自国通貨安によって、生産回帰が起きるも
のだと信じていました。しかし、事態はいっそう深刻のようです。新興国で
あれ自国であれ、人間の労働自体が不要になってしまうのです。
新興国の労務コストでもなく、自国通貨安でもなく、ロボット化によって
「先進国への生産回帰」が起きようとしています。これが加速したとき、
「輸入」「現地生産」といったパラダイムでは対処できない、次なる思考法
が必要とされるはずです。
そのとき、私たち調達・購買・サプライチェーン関係者は何をすべきでしょ
うか。そして、何をもって備えるべきでしょうか。