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ケタ違いの部品調達力
先日、アップルの部品調達の凄さについて書いた記事を読んだ。アップルは、どんなに大量調達してもコスト低減要求をしないのだという。それよりも、パートナーシップと在庫管理に力をいれている。そしてそれを実現させるのは、最終商品を値崩れさせないアップルのブランド力によるものだとされていた。また経営幹部が調達・購買戦略に関与しているのも大きな要因だという。
徹底した1社調達と、部品メーカーとしっかり組むことによる安定調達。これは、なるほど強みには違いない。
ところで、これは、某社が生産ラインを止めてしまった事例とどこが異なるのだろうか。某社は、同じく主要部品を1社調達していた。その結果が、生産ラインのストップだった。同じ新聞社の解説によると、「1社購買が、リスクを集中させてしまい、今回のトラブルにつながった」はずだった。
何が違うのだ?
なるほど、上手くいっている企業はそれを成功例ととらえ、上手くいかなくなったらそれを失敗例ととらえるのか。そんなメディア批判はやめておこう。繰り返されたことだ。
私はアップルを批判したいわけではない。むしろ逆である。私は同社商品をなんと4つも持っているし、毎日愛用している。ただ、それは「いま」を切り取ったにすぎない。
ケタ違いの部品調達力も、「いま」はほんとうだろう。そしてそれが継続することを私は祈っている。ただし、それが「いま」上手くいっているからといって、それが今後かならずしも続くことは意味しない、ということは理解しておきたい。
日本メーカーでも、調達・購買が上手くいっているとき、それは自社の完成商品が売れているときだ、という皮肉な結果もある。要するに、調達・購買の活動など、営業側の成功・失敗にひきずられるだけなのか。
それは違う。商品が不調なときにも、調達・購買は好調であることはありうるのだ。そんな回答をアップル社が(もし斜陽になったとしても)示してくれることを私は祈ろう。