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デタラメ調達コンサルタントに捧げる
このところ消費税バブルが続いています。消費税増税前に、各地でのセミナ
ーは大盛況。また、消費税増税前に、何を買えばいいか、などテレビでさか
んに報じられています。消費税については私もいくつかの場所で語りました。
また、テレビのインタビューを3件ほど受けました。雑誌は2件。そこでよ
く訊かれるのが「消費税増税前に、消費者としては何を買っておいたほうが
良いのでしょう」というもの。
なぜだか私は家電についてよく訊かれます。んだもんで、私は「消費税増税
なんて関係ないですから。ほしいモデルが下がるまで待て」といいます。し
かし、それでは記事にならないので、「でも、違う先生は、家電は3月のう
ちに買ったほうが良いといっていましたよ」とおっしゃる。たしかに、そう
いうひとは多いですし。この前、某有名評論家がテレビに出て、3月末まで
に買ったほうが絶対オトク!と叫んでいました。
でも、ほんとうでしょうか。サンプルになるのは
1989年4月
1997年4月
です。1989年に消費税が導入され、1997年に5パーセントにあがり
ました。そのとき、どういうことが起きているでしょうか。
実際に、冷蔵庫、カメラ、電子レンジの価格推移を調べました。これはどん
な品目でも良かったので恣意的です。私はほとんどの家電製品の価格推移を
調べました。もしご興味があるひとは、独自で調べてください。結果がこれ
です。
http://www.future-procurement.com/reizo.jpg
http://www.future-procurement.com/camera.jpg
http://www.future-procurement.com/denshi.jpg
左の指標は無視してください。純粋に価格の上下をご覧いただきましょう。
そうすると……どうでしょうか? このデータから、1989年3月と19
97年3月に買うべきだった、と断言できるひとはいるでしょうか?
いや、もっといえば、某有名評論家やコメンテーターは何を根拠にいってい
るのでしょうか。おそらく、適当だ、と私は思います。
私は、他人がいっていることを素直に信じられません。鵜呑みにできないの
です。すこし面倒でも、自分で調べてみる。そうすることで、多くの事実に
気づきます。消費税増税についていえば、とんでもない間違いを書いている
本がいくつもありました。基本的な控除の仕組みを知らないで書いている。
専門家の顔をしてもこの程度なのですね。
ところで私は調達・購買コンサルタントもそうではないか、と思っているの
ですね。自分も調達・購買コンサルタントを名乗りながらいうのもなんです
けれど、彼らが話す内容はほんとうにデータに基づくものでしょうか? そ
れとも現場経験の直感? その直感は正しいのでしょうか?
たとえば誰でもいいそうな発言に「近年、企業はコスト削減に力を入れてき
た」というものがあります(これは特定のひとの発言という意味ではないで
すからね)。で、それってほんとうなのでしょうか。そのような数的データ
はあるのでしょうか。私がデータを見る限りそんな事実はないですけれどね。
っていうか、「力を入れる」の定義ってなんですか?
とまあ、こういう意地悪な質問を、その調達・購買コンサルタント本人にす
る必要はありません。絶対にありません。固有名詞を面と向かって批判して
良いことなんて一つもありませんから。ここは勘違いしないでください。ひ
とは他者を詰問する権利はありません。でも、心のなかでは疑問をもって、
自分なりに調べるのが大切です。
ということでして、今回もまた地道に「自分が納得するまで調べる」「他者
の発言を容易に信じない」ことの流儀をお話しました。