ニューヨーク・タイムズ赤字が示すもの

ニューヨーク・タイムズ赤字が示すもの

デジタル推進派のみなさん、ごきげんよう。

ニューヨーク・タイムズの2010年の7~9月の営業損益が赤字になる見通しとなった。購読料収入は約5%の減。広告収入も同程度が減少するようだ。ネットの広告は健闘しているとはいえ、それを賄えるレベルではない。

同社はネットにも対応して新たなビジネスモデルを構築しようとしたが、それはうまくいかなかったようだ。かつて、ニューヨーク・タイムズがネットに進出すれば、新たな収入源となり、紙媒体の代替となると論じた人がいた。お元気ですか。実際は、ネットに移行しようとしても利益はあげられない。

ここにかなり深刻な構図が見えてくる。新聞社はネットに移行せねば時代の流れに乗ることができない。しかし、ネットに乗ったら、誰も紙媒体に金を払わなくなるというわけだ。しかも、この事態はアメリカだけではない。日本の各新聞社も利益を減らし続けているし、社員の収入減のニュースも相次いでいる。

おそらく汎用的なニュースであれば、それに価値を見出す人は激減している。ネットでお金を払ってもらえるのは「特殊性」「専門性」「深み」がある情報だけだ。その要素を満たしていないものは「無料でしか読まない」情報と化してしまう。

ネットを使えば成功するわけではない。そこには必然性が要る。

これからおそらく多くの新聞社(に代表されるメディア)が経営危機に陥るだろう。そのとき、私たちは一つのことに気づく。ネットはみなを金持ちにしない。8割の人を貧乏にし、残り2割の人のみを裕福にする。利便性をあげ、利益を下げるシステムであるのだと。

そのとき私たちは残りの2割に入ることができるだろうか。私は「特殊性」「専門性」「深み」が大切だといった。どの産業も、情報がキーとなるなか、その三つを意識した情報発信に努めていきたい。

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