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バイヤーが表舞台に立つ時代 ~ 正面から勝負してみる(1)
「お前らのやっていることはデタラメだ!!」
設計課長は、机の前にいる購買課長に対して怒鳴り声を上げた。
全く意味のない数字。
全く意味のない架空の成果。
困ったことに、書類を作成した本人も「実は意味がない」と思っているから、反論のしようもないのだ。
ある期の終わりのこと、コストダウンの成果を報告する場でのことだった。
怒鳴られた購買課長は、黙ってしまい、その批判を20分に及んでただただ聞くしかなかった。
・・・・
売上額を虚飾して報告するセールスマンがいるだろうか?
もちろん、いるだろう。
しかし、最後は客先から実際に支払われた「売上金」と比較される。もし嘘の報告をしていたら、殴られるか、左遷にあうだけだろう。
新入社員の学歴や保有資格を詐称して報告する人事担当者がいるだろうか?
もちろん、いるだろう。
しかし、それも履歴書を見ればすぐにわかる。どんなに優秀な人材を採った、と叫んでみても、その社員が職場に配属されしばらくたてばボロが出てこざるをえない。
その一方で、虚偽の成果の報告をしてもバレない人種がいる。
購買・資材部門、というやつだ。
私は、今まで人間的にも能力的にも優れたバイヤーを多く見てきた。
彼らであっても、コストダウンに関しては、虚偽の報告をする人たちが多かった。
(*注)・・・コストダウンとは正確には「コストリダクション」であり、「原価低減」「原低」とか呼ばれている。
1万円で買ったこともないものを、「交渉して8千円に下げた」とか言う理由で、初品にも関わらず、「原価低減基準単価1万円、購入単価8千円。したがって、20%ダウン」なんて報告するのだ。
挙句の果てには、「コストダウンの年間成果は15%でした」みたいなことを、購買や資材だけの仲間内だけで「発表会」を開いたりする。