バイヤーが表舞台に立つ時代 ~ 集中と選択と(2)

バイヤーが表舞台に立つ時代 ~ 集中と選択と(2)

「あなたの娘のサービスは、最高だ」

援助交際の感想ではない。

その老年者は語りだした。

受話器をとった娘の母親は驚き、喜び、震えてしまった。

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「選択と集中」などいまごろどこの会社でも言っている。

問題なのは、そのお題目が下の層まで伝わっているかどうか、なのだ。

浸透しない戦略は虚しい。

うわべだけの事業展開を実施している企業はいつか破綻をきたす。

「選択と集中」を、単なる赤字部門の切捨てに使うのではなく、社員一人一人がこの言葉を実践できているかどうか、が問題なのだ。

バイヤーの話に移す。

投資対効果を頭に置くならば、いったいどれだけのバイヤーが「自分」という資源を投下したリターンを想定できているだろうか?

下がるとも思えないコスト交渉に時間をかける人。

何もせずともコストが下がることが分かっていて、交渉に時間をかける人。

これらは全て自分というものの資源が無限と思っているがゆえの誤りである。

マトリクスで示そう。

安くなる対効果額/労力

結果/事前期待     安くなるはず     安くできない
安くなる             中/大              大/小
安くならない       ゼロ/大           ゼロ/小

上記の通り、「安くなる対効果額」が最も高いのは、「安くできないと思っていたが、安くなったとき」である。その次は「安くなるはずと思って、実際安くできたとき」である。

考えてみれば当然だ。

自分という資本(資源)を投下して、最も対効果がでるのは、「安くできないと思っていたが、安くなったとき」に他ならない。

これは、例えば、誰も手をつけなかったコストダウンのネタを見つけてやってみること。みなが諦めたり、放置している箇所をコストダウンすること。これが最も効果がある。

そして次は、事前のリサーチから「これはコストダウンできるな」と予測を立て、交渉に臨むこと。

単純であるが、事前の効果額予測ができていないバイヤーがあまりに多い。

だからいつまでたっても時間ばっかり無駄な仕事にかけてしまうのだ。

おそらく有能なバイヤーとは、見込みある源泉をとっさに見つけ、他の源泉との比較を行い、最も効率的な手法を見つけ出すことに秀でた人である。

これはおそらくわずかな時間でも、考慮に割くことが出来るかにかかっている。
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竹下登はそれをやった。激務の中で効率的な票集めをやり、竹下派という一大勢力を作り上げていった。

忙しくない人はいない。

熱心なバイヤーであればなおさらだ。

であるからこそ、自分のバイヤーとしての「選択と集中と戦略」に時間を割いてみないか。

そして自分の資本効率に敏感になってみないか。

資本効率はMBOだけの概念ではない。

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