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バイヤーは会社を辞める!!(2)
以前私はバイヤーに欠如しているのは「バンザイ」ではないだろうか、と書いた。
それは言葉をかえれば、何かを成し遂げたという感覚だ。
設計者であれば、何かを作り上げ、それが予想以上の動きをしたときに「バンザイ」がある。生産現場であれば、無理な工程をやり遂げたときに「バンザイ」がある。
しかし、バイヤーはなかなかこの「バンザイ」を感じることが難しいのではないか、と。
「バンザイ」のある場所。そこには、他と代替できない喜びがある。
そこに自分がいることによってのみ達成できることに対する生きがいがある。
代替性がない、ということは生きがいの源泉である。
デジタル家電で考えてみよう。日本で売られているデジタル家電製品のコア部品(CPUなど)はアメリカ製、部品はそれぞれのチップメーカーが独占している。
ほとんどデファクトスタンダードが決まりに決まった中で、多くの最終財メーカーは販売コスト低減にのみしのぎを削っている。
そういう中でどうやって個性を出していけというのだろうか。
その企業しか持てない個性と、それに伴う非代替性などどうやって持てというのだろうか。
こういうところでは必然的に代替性が薄れてしまう。
・・・・
ERPがもっと進化すれば、本当に個人個人の力量や個性によらない業務が可能となるのだろうか?そして、発注業務から問題分析、そしてトラブル対応までコンピュータ上で実施できる日が来るのだろうか。
そのときになっても、どれだけバイヤーが非代替性を持つことができるか。
早い話が、「この人しかいない」と言わせることができるか。それが問題なのである。
バイヤーが付加価値を持つには3つの段階があるのではないかと私は考えている。
一つ目。息つく間もないくらいのスピードで業務を処理できること。
二つ目。アタマを使って、問題を解決できること。
三つ目。その人にしかできない仕事を創り上げること。
一つ目と二つ目はたくさん書いてきたし、入社2年目くらいまではまずはこれを目指すべきだと思う。もっといえば、一つ目だけでも実行できている人はほとんどいないから、これだけでも現在ならば価値は相当ある。
一番難しいのが三つ目だ。
しかし、おそらくこれからは、新たな仕事を創り出して、さらにそれをすぐにノウハウ化し誰にでも遂行可能にしていくことが求められるだろう。だから三つ目は正確には「その人にしかできない仕事を創り上げ、その中で法則を速やかに見つけ、他の人に委譲すること」となるだろう。
例えば、生産中止品を見つけてくるノウハウはあなたが真っ先に構築できるかもしれない。中国からの調達だって、東南アジアからの調達だって、誰もが勘と経験だけでやっていることを、分かりやすくノウハウ化し業務を効率化するツールを創り上げれば、それだけで相当な価値がある。
そして、それ以前に改善すべきは、我々の感度であることに気付いてくるだろう。
目の前のことに日々新たな発見をし、新たな改善を実施していく試み。その積み重ねの果てに、バイヤーのための「バンザイ」が生じ、非代替性も生じてくる。
「バイヤーは、奥さんと恋人以外に『この人しかいない』と言わせてみろ!!」