バイヤーは何を学ぶ必要があるのか

バイヤーは何を学ぶ必要があるのか

「バカヤロー!!」

年齢が30歳も離れている先輩バイヤーから灰皿を投げつけられれば、誰だって萎縮してしまいます。初めて灰皿が飛ぶところを見たのであれば、なおさらです。

そのとき私は、走って会議室へ向かっていました。前の会議が長引いてしまい、どうしても次の会議に遅れて参加せざるを得なかったのです。20分遅れで到着した会議室。私が会議室に入るなり見たのは、熱気に包まれた状況。どうやら、私が会議を主導するべきところを、自分の代わりに先輩バイヤーが会議を仕切ってくれているようでした。

私はつい申し訳ない気持ちでいっぱいになり、その先輩バイヤーに目を合わせるなり、つい「遅れてしまい、大変申しわけありませんでした」と言いました。すると、その先輩バイヤーはすぐさま手元の灰皿を取って、私に投げつけたのです。

「バカヤロー! 謝るなら、まずこちらさんに謝れ!」。

先輩バイヤーの指し示した先には、サプライヤーの方々がいました。

私は、そこからこの先輩バイヤーの教えを受けることになります。社内の人よりも社外の人にまず礼を尽くさねば、どんな信頼も得ることができないという単純な真実。バイヤーは何を勘違いしているのか、「買う」という立場にいるためか、サプライヤーの方々を下の立場と思ってしまうことがあります。平気で待ち合わせの時間を延ばしたり、会ってもお茶すら出さなかったり。そういうバイヤーになってはいけない、まずは基本的な礼儀から私への教育は始まりました。

その人は、非常に博覧強記な人だったので、知識面で非常に学ぶことが多かったように思います。人間は、歳をとればとるほど、精神面を強調しがちです。しかし、その人はそうではなかった。他の先輩バイヤーが、「仕事は気持ちだ」「仕事は想いだ」「仕事は気合だ」「関係者の幸せだけを考えていれば上手くいく」などと宗教じみた発言を繰り返す一方で、その先輩バイヤーは、「まずは基本だよ」「形が大切だ」と私に言い続けました。

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