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バイヤーへ告ぐ!内向きのススメ
「バイヤーってなんなのですか?」
昨年の忘年会の席上で、こんな質問を私に聞いた後輩がいる。かなりアルコールが入っていたので、何か思いつく限り言いたいことを口にした・・・・・・と思う。私がその後輩の頃は、そんなことは考えずに、目の前の仕事に必死に取り組んでいた・・・・・・かな?私が営業から購買へ異動した頃は、2年先に異動した同期入社の社員の大活躍を目にして、かなり焦っていたのは事実。そして購買への異動はまったく望んでおらず、正直自暴自棄になっていたのも事実。そんな複雑な心境の狭間で「バイヤーってなんなのか?」なんてとても考えていなかったかもしれない。まして、今バイヤーを自分の天職に!と思っている今の自分は、当時の私にはまったく想定の外だろう。いつか営業に戻ることを夢見ていたはずだ。そう考えると、時の経過とは本当にスゴイ!って思える。
「バイヤーってなんなのですか?」と言われて以来、いったい何なの?と考える時間は確実に増えている。お陰で、いろいろなアイデアも浮かんでいる。と、前段がかなり長くなったが、今日のテーマである「バイヤーに告ぐ!内向きのススメ」である。
夕食を食べた定食屋のテレビで、低価格パソコンのドキュメントが放送されていた。「台湾メーカーの圧倒的な購買力」そんな言葉が耳に残った。世間のバイヤーは、購買力の不足に悩んでいる。そして、その購買力の源泉は、購買量だと思っている。しかし購買力=購買量ではないと私は思う。もし「購買量=購買力」だとしたら、日本の99%以上の法人であるいろいろな意味で規模の小さな企業にはに購買力が存在しないことになる。そんな事って有るか?
購買力って何だろうか?産業購買の場合、内部統制の問題もあって、買うか買わないかを決める人、仕様を決める人、購入先と、価格を決める人、買ったものを受領する人を分けなければならない。こうすることで「買う」為の意志決定が分割されてしまう。そして購買力の評価は、たいていの場合「価格」で示される。購買力不足とは、高く買っている、競合先に買い負けているってことになる。
ところでバイヤーの皆さん、こんなこと経験ありませんか?
「知らないうちに、設計が仕様変更しててさ~」
「サプライヤーに提示した営業の販売見通しがメチャクチャで・・・・・・」
「社内の工程の都合で、納期が直前になってずらされて・・・・・・」
価格を決定するのがバイヤーだとすれば、こんな風に買うための情報が無いままで適正な購買ができるのだろうか?と思う。自分が買い物をするときに、中身がよくわからなくて、この先どのくらいの数量が必要になるのかもわからない、今日必要なのか?一ヶ月後に必要なのかもわからないものを買うか?!って話だ。そしてその情報は、目標を同じくする同僚が握っている。
「そんなもの、言ってくれなきゃわからない」
確かにそうだろう。そういう事実が起こっていることを知って、サプライヤーと話をするのと、知らないのでは雲泥の差である。起こっている事実を伝えるのに差ほど多くの時間を必要としないと思う。要は、社内の関係者が「この情報はバイヤーにとって重要である」そう認識してくれているかどうかの違いだ。社内で起こっている事実が、バイヤーが仕事をする上でとっても重要なことをバイヤーはもっと社内へ言うべきではないか?と思うのである。市場環境や、市況の動向、そいういった外の情報も大事だが、同じくらい「社内」についての情報も集める必要があると思うのである。そして情報とは待ってたらこない。自分から集めに行かないと、そう思うのである。
購買量の少なさを憂う前に、バイヤーはいかに自社を語ることができるか?が勝負ではないかと思うのだ。自社の現状を掌握してサプライヤーと対峙したときに、初めて本当の自社の購買力を知るはずである。そこまでやってから嘆き悲しんでも遅くはない。