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上司と部下の価値(1)
「そんなこと聞いてねぇぞ!」
購買部門内での定例会議のことだった。
個人の週間計画を言わねばならないときだった。
その場に出席していたバイヤーは自分の予定を語りだした。交渉をかねてサプライヤーの工場に出張すること、製造部門との不良品撲滅会議、そして新規サプライヤーの採用についての打ち合わせ。
最後のところで、上司はどうしても気になるようだった。
「新規サプライヤーの採用についての打ち合わせ」というところだった。
「なんだっけ、それ?」と上司は問いただした。
製品はリレー(電気回路を開閉する装置)だった。そのバイヤーは中国で躍進しているサプライヤーを見つけていた。しかも、そこは大手電機メーカーのOEMも行っている。
「リレーでして、次回の設計構想ではそこを使うことになっているんです」とバイヤーは語った。
しかも、コストダウンできる金額も大きい。品質もおそらく問題なさそうであろうことは分かっていた。
しかし、だ。
上司はどんなに説明を受けても納得できていないようなのだった。
「そんなことなら、何で俺に言わない?」と上司は訊いた。
「だけど、問題は発生していません」。バイヤーの発言は答えになっていなかった。
「そんなこと聞いてないって言ってるんだよ!」