下請法運用ルール改正でとびっきり重要なこと

下請法運用ルール改正でとびっきり重要なこと

多くの方がご存知の通り、下請法ガイドラインが改正されました。これまた、
多くの方がご存知の通り、2016年12月に公正取引委員会・中小企業庁
が発表した内容によると、要点は次の通りです。おもに、違反となる事例が
大幅に追加されました。

<主な追加事例>
下請代金の額から一定額を差し引くこと【減額】
量産品と同単価での補給品の発注【買いたたき】
合理性のない定期的な原価低減要請【買いたたき】
型・治具の無償保管要請【不当な経済上の利益提供要請】

驚くのは、「買いたたき」が四つのうち二つです。これは、当局が、「買い
たたき」について注視していると表明しているに違いありません。以前のメ
ルマガでも書いたとおり、これからは、原材料が上昇している局面で、下請
事業者から値上げ申請を無視し価格を据え置きしただけでも、「買いたたき」
と認定されうるのですから、調達・購買関係者は戦々恐々とするのも仕方あ
りません。

これから、この下請法ガイドライン改正を「正しく」恐れるための指針につ
いて書きます。これほどハッキリ述べているひとはいないと思います(が、
すべてを知りませんので、その点はご容赦を)。

「買いたたき」と認定されないためには、一般的に次のように理解されてい
ます。

(1)しっかりと下請事業者と協議をすること
(2)市価と比べて適正な調達価格を決めること

そのうえで、調達人員を悩ますのは、(2)でしょう。「市価と比べて適正
な調達価格」って何だ、と。いかなる手段をもって証明すればいいのだ、と。
材料費、労務費、そして他のコストにいたるまで、どうやったら適正だと胸
を張ることができるだろうか、と。

しかし、考えを詰めていけば、これは神学論争だとわかります(神がいるか
どうかを、理論的に存在証明を行ったり、反証したりすること)。結論は、
「誰もできない」となるからです。なぜなら、プロのみなさんだって、担当
している品種の妥当性証明は、なかなか難しい。相見積書を入手したり、原
価計算を細かくやって、なんとなく理解できるにすぎません。

それを、当局ができるでしょうか。できるなら、その方を、プロのバイヤー
として雇ったほうがいいはずです。妥当性を証明できるのならば、どこの会
社からも引っ張りだこでしょう。だから、ここは、「(2)市価と比べて適
正な調達価格を決め」ているかはわからない、と考えるほうがよいのです。

これは公正取引委員会の批判ではありません。無理なものは無理だからです。
としたら、残るのは、「(1)しっかりと下請事業者と協議をすること」の
みです。だから、価格の絶対値ではなく、ちゃんと打ち合わせを重ねて、価
格をニコニコ合意したかどうかのみが重要なのです。

しつこいのですが、これほどハッキリ述べているひとがいるか知りません。
でも、肝要点は、説明能力にあるのは自明です。悪い意味ではなく、協議の
証拠づくりこそが重要なのです。

このたび、私は調達担当者のための「下請法ガイドライン改正対応セミナー」
(オンライン)を発表し、改正の点をすべて解説しています。弁護士のチェ
ックを受けています。解説は坂口孝則です。実務の決定版です。

http://www.future-procurement.com/product/shitauke/

ここでも、私は考え抜き、「正しく」恐れることの大切さを述べています。
よかったらご覧ください。

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