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中国の生産コストはずっと低いままなのか
最近つぶやかれている「アブないウワサ」がある。中国調達に関わっている人であれば、一度は耳にしたことがあるはずだ。それは、「中国調達はもうダメになってしまうのではないか」というもの。中国のコストが高まり、もう中国調達するメリットがなくなってきているというのだ。
どんな国でも生産効率が高まって需要が高まってくると、労働者のコストが上昇してくるのは当然である。だから、中国が同じ道を辿るのは、ある意味で当然と言える。
最近、中国人労働者が集まったら話すのは「賃上げをどうやって求めるか」であり「給料の高い企業はどこか」であるという。ただ、給料は下方硬直性があり、一度上げてしまったらなかなか下がらない。だからどの企業も大幅な給料上昇は認めていない。
とはいえ年率数%は上昇しているのが現状だ。中国の統計データは残念ながら、あまり信頼に足るものはないと言われているが、関係者からのヒアリングによると5%程度は上昇している企業もある。
現在では、企業の内部コストの上昇を、販売価格に転嫁していない(できていない)中国企業がほとんどだから、さほど問題は表面化していない。とはいえ、それは隠蔽されているだけなので、問題が解決したわけではない。アブないウワサは、真実になってしまう可能性もある。
しかし、考えてみるに、調達コストが安い国がずっと安いはずはない。中国のコスト・トレンドを継続チェックするのは当然だが、中国の経済成長の伸びを前には、引き続き中国の代替国を探す周到さも忘れてはならないだろう。
グローバル化の前には、私たちは固定化した調達はできない。流れる川に泳ぎゆくように、世界の推移に追随していくほかはないのである。