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中小企業が優秀な社員を三日で集める方法
「大企業とは違いますからね、ウチは」
バイヤーとして中小企業の経営者と話していると、私にそうボヤかれることがある。人員を増強してほしい、海外に進出してほしい、開発力を強化してほしい……。そんなお願いをすると、必ず出てくる。「分かっていますけど、中小企業には、簡単に優秀な人材が集まらないんですよ」と。
以前、幾度か中小企業のホームページにある「採用情報」のページについて意見を求められたことがある。そのうち一度は、中小企業の求人ページ大賞の審査員もやった。
正直に申し上げれば、私は、拝見した多くに違和感を抱いた。
働く社員を紹介している写真を掲載しているところが多かった。そうすると、必ず隣に、こんなキャッチフレーズが並んでいる。「夢を実現できる職場です」「やりがいのある仕事です」「家庭と仕事を両立できる職場です」。ほぼ、この三つのパターンで分類できた。
私は驚いた。そうか、日本には、そんな夢のような職場しかしないのか、と。
それならば、日々出会う社長たちは、なぜ人材難を嘆くのかと不思議になった。それほど活気溢れた職場であれば、優秀な人もたくさん集まってくるはずだ。
しばらくそれらのページを見ていると、ふと気づいた。どこか無理があるのだ。
少し考えれば、プレス工場に夢があふれているはずはない。募集してくる側も、そんな夢のある職場なんてないと、心の底では気づく。
だけど、別に夢なんかなくてもいいじゃないか、と私は思う。
なぜなら、今の若い世代が求めているものは、夢とか自己実現とかよりも、「自分が必要とされている」感覚だからだ。ゆえに、もっと正直に「仕事は大変だ」「でも、私たちは、あなたを必要としている」と書いた方が良い。
ある中小企業の採用ページに「若い女性社員たちの貰い手になってください」という写真つきのものがあった。笑った。でも、これ以上「あなたを必要としている」というメッセージを送っているものを見たことがない。