事前準備のむずかしさに悩むバイヤー

事前準備のむずかしさに悩むバイヤー

「な~んにもなかったよ。見積もりだしてそれっきり」

あるサプライヤーとの会話。他のお客様の対応を愚痴られている(笑)

「それでいて、突然訪問したい、だもの。それも土曜日か日曜日指定で。ちょっと非常識だと思わない?」

かなり怒っている。私との話はすっかり終わっていたので、どんどん怒って貰って構わない(笑)から、火に油を注ぐようにちゃちゃを入れていった。

「いや、それは酷いですね」

「ほんとうに、そういったんですか?信じられない……日本を代表する会社なのにね~」

そんな話を聞きながら、その日本を代表する会社の内情を少し知っている私は、あるやむを得ない状況を想像していた。

そのサプライヤーが見積提出を行った会社の製品は、ある事情によってここ数年受注が全くと言っていいほどに止まってしまっている。常識的に考えれば、そこまで受注が無ければ、会社が傾くのであるが、規模の大きさ(他の事業がある)ことで生きながらえてきた。

受注が無い時でも歯を食いしばって、次なる受注に備えてコスト削減の手綱を緩めずに……とは言うモノの、実際はとっても難しい。コスト削減にとって先立つものは、生産であり、そもそもの受注である。いくら大きくて美しいコスト削減の方策をプレゼンしても、実際に実現しなければバイヤーとしての成果はゼロだ。

ただ、有る程度受注がゼロでも生きながらえる手段を持ち得ているのであれば、そんな時期の取り組みが後に大きな差となって現れる。が、しかし、元々長期的な視野で、短期的な利益を追い求めないとされてきた日本の会社でも、来年よりも来月、そして今月、さらに今と、どんどん足元しか見なくなっている。足下しか見ていなかったら、仮に大きな壁があってもよけきれないと思うのだが……

バイヤーとしても難しい対応を迫られる。コストダウンが立ちゆかない理由を説明する資料作りに明け暮れるか、それとも来月いや、来年、未来の為に今、やるべき事へ力を入れることができるかどうか。これは企業であれば、なかなか自分だけで行うことは難しい。なかなか全体の短期的視野に基づく動きに逆らうこと、それだけでパワーが必要だし、理解者がいないと、尊い発想や行動も評価されなければ一転「無駄」となってしまうかもしれない。

一般論でいえば、大企業で部長にまで登り詰めれば、大成功のはず。しかし、さらなる手柄を得るために、超短期的視野で無理難題を押しつけられることの矛盾。無駄と解っていても作らなければならない資料でも作らなければならない悲しいサラリーマンとしての性。でも、そういったことを乗り越えないと、自分のやりたいこともできないのも真実。

サラリーマンも大変だ~

 

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