交渉とは、相手に適度に嫌がらせをすることである

交渉とは、相手に適度に嫌がらせをすることである

最近では、SRM(サプライヤーリレーションシップマネジメント)といったマネジメント手法によって、サプライヤーとの良好な関係をベースにして、様々な取り組みの実践が良しとされています。しかしこの取り組み、元々のバイヤー企業とサプライヤーの関係性を考えると、ただ「良好な関係」を作れば良いのではありません。バイヤー企業とサプライヤーの間で必ずおこなわれる交渉の中では、適度にサプライヤーに嫌がらせをしても、壊れない関係こそが、我々バイヤーが求める関係です。

「バイヤーの「押し」が弱くなった」
最近、ある大手企業の調達購買部門マネージャーから、こんな話を聞きました。
以前は、傍若無人な振る舞いをする横暴なバイヤーの存在がありました。私の書いた本の書評をしてくださった、有名な経済評論家でさえそのような認識であったそうです。
そんなバイヤーの反省もあり2000年代以降、バイヤー企業とサプライヤーとの関係を「パートナーシップ」と称して語る機会が多くなりました。外注でなく協力会社。サプライヤーではなくパートナーです。言葉は、人の認識を的確に表現しますし、言葉を聞いた他人にも影響を与えます。したがって、外注といった差別的な言葉を連想させるような言葉遣いを改善してゆくのは良しとします。しかし、関係の実態はどうなっているかが問題です。
サプライヤーとの関係そのものを安定させてしまうと、それはバイヤー/サプライヤーともに安住する関係へと移行します。サプライヤーを臨機応変に変更するのでなく、理由なく同じサプライヤーを採用し続ける事態です。サプライヤーとは、採用を決定した瞬間がまさに発注に足る理由がもっとも最大化した瞬間です。もし、発注を決定して改善を怠ったら、発注を決定した理由は陳腐してゆきます。サプライヤーに発注する確固たる根拠・理由は、サプライヤーとバイヤーの間で、作り続けなければ維持できないのです。
しかし、近年ではパートナーシップが強調されすぎる余に、サプライヤーに言いにくい内容を言えないバイヤーが増えているそうです。特に若手がね~なんてことを、冒頭のマネージャーはおっしゃってました。これは残念ながら本末転倒以外の何者でもありません。
バイヤー企業とサプライヤーとの関係は、利益の取り合い・せめぎ合いの関係です。だからこそ、より利益を拡大するには、問題点を指摘して改善・改革を強いる姿勢が不可欠です。パートナーシップ=仲良し倶楽部化しては、そもそも共倒れしか待っていません。嫌がることを言ってなお、パートナーシップを維持することが今、求められているのです。

無料で最強の調達・購買教材を提供していますのでご覧ください

mautic is open source marketing automation