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会社の金だったら何をやってもいいのだろうか?(2)
当初は、「議論と無関係のところで腰を折られても・・・」と否定的な意見を私は持っていた。
しかし、よく思うに、男性バイヤーで自分の交渉した金額を暗唱できる人などいるだろうか。
さっさと交渉して、ハンコを押してパソコンに入力したら、もういくらで決定したかなど忘れているのではないか?
が、女性は細かく覚えていることが多い。
ただ、これはバイヤーとして当たり前なのだ、と改めて思った。
会社ではなく自分の財布からカネを出すのであれば1円単位まで細かく注意を払い覚えている人がいる。
だが、職場に入った瞬間にその感覚を忘却し、「はいはい」と次々やってくる見積にハンコを押すだけの人がいる。
これは、戦略とかスキルとか○○手法によるコストダウンとか、そういった難しい議論ではない。難しい高尚な知識だけ知っていても現場では全く使えないバイヤーたちがいる。
それよりも愚直に目の前のことを1円でも安くしようと奔走しているバイヤーの方がずっとずっと美しい。
・・・・
夕食の買い物と、産業製品の購買を同列に並べるのは問題があるかもしれないが、場合によっては「夕食の買い物」の方が高貴な可能性もある。
少なくとも、夕食の材料であれば、他社(スーパー)同士の比較を実施している。
「バイヤー」と言えばカッコいいが、実際は他社比較など何もしていない場合が多い。
こういう話をすると、いつも「10円を下げるよりも、他の仕事をした方がいいんじゃない?そっちのほうがコストパフォーマンス的には良いよ」という議論をする人がいる。
いや、そうなんだ、何の反論もないんだ。
だけど--、と言いたい。
でも、でも、そういう話ではないのだ。
その人の情熱は常に細部にこそ宿る。加えて、コストパフォーマンスなんたらという話よりも、「そのバイヤーが納得して購入しているか」という視点をもっと重視したい。
「1円なんてたいしたことないよね」とは言わず、執拗に追いかけることがあってもいい。そして、それが多少効率を落としても、自分の「買う」という視点を深化させることができればいい。
人間として必ず起こることがある。それは「効率ばかりを追い求めたら、必ず非効率な出来事が起きる」ということだ。
そして--、男性のように出世と世間体のことを考えず、目の前の業務に必死に取り組もうとしている女性バイヤーこそを活用していく時期に来ているのではないか?
業務の効率化も結構だが、それ以上に自分が納得するまで、自分の能力を傾けている女性バイヤーを応援したい。
皆は「女性のバイヤーも必要だよね」と言う。
私は「女性のバイヤーの感性こそが必要だ!」と言おう。
「バイヤーは自負を捨てて主婦に学べ!!」