価格を下げる側の論理(2)

価格を下げる側の論理(2)

加えてもう一つ重要だと思う点を述べておこう。

どの本にも、「QCDでサプライヤーを評価しよう」と書いている。

発展系として、「QCDD(デリバリー)」や「QCDDME(マネジメントと環境対応)」としているところもある。

しかし、そこには根本的な欠落があるのではないか、と思っていた。

つまり、どんなにQCDDMEの優れたところであっても、「それでどうなの?」ということである。その指標がよければ、株価や社会的には好影響だけれども、それが自社との取引に関係するわけではない。

QCDよりも重要なのはP(=ポジション)である。

Pは立ち位置である。その企業がこちらをどう認識してくれているのか。営業戦略的に入り込んでみたい魅力を感じているのか。あるいは、こちらの話しだいでは、今後も戦略的なパートナーとして二人三脚で歩んでいけるメーカーなのか。

そのPが第一になければ、QもCもDも本来の力など発揮してくれるはずがない。町工場のオヤジが、マイクロソフトのQCDを評価したって何の意味もないのと同じだ。

そして、Pは戦略的な立ち位置とともに、物理的な位置でもある。

その企業の立地は自社と近いのか。営業所は近くにあるのか。設計部門は近くにいるのか。いなければ近くに来るくらいの意気込みを持ってもらえるのか。連絡を密にする手法はあるのか。

そもそも、自社とその企業は、皮相的ではなく、心と心で結びつき、同じ方向に走って行けるのか。

そういうことを吟味せぬQCD評価など消えてしまえばいい、と思う。

・・・・

さらに重要なことは、バイヤー業が変化せねばならないことだろう。

Pを測るのであれば、机の前にただ座ってサプライヤーがやってくるのを待つだけではできない。

受動的であったバイヤー業務を、積極的な能動業務に変換することが必要なのだ。

そのためには、「サプライヤーを選択する」という姿勢ではなく、「サプライヤーを口説く」という姿勢が重要になってくる。

これからますます、ナンパのテクニックが必要になってくる。嘘である。

サプライヤー本位ではなく、バイヤー本位で取引構造を構築したとき、バイヤーの立場も向上するだろう。無意味な言いがかりをふっかけられることもなくなるだろう。

それこそが、サプライチェーンではなく、真のデマンドチェーンだ、と私は思う。

「バイヤーは他部門の口をふさげ!!」

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