価格転嫁バンザイ!

価格転嫁バンザイ!

価格転嫁の波が止まらない。まだ、私たちは原材料高騰の悪夢から逃れられないようだ。

現在、原材料価格が引き続き上昇している。その影響をモロに受ける素材メーカーたちは顧客に対して値上げを依頼している。鋼板などはその最たるものだ。大手鉄鋼メーカーは次々と、顧客への価格転嫁を表明している。鉄鋼だけではない。樹脂系の材料も、聞くニュースはすべて「値上げ要請」ばかりだ。

これを素直に受け入れるほど完成品メーカーも素直ではない。自動車や電機の大手は、さっそく拒絶の姿勢を明確にした。ただでさえ完成商品が売れない時代だ。コストアップにつながる材料費の改訂など認め難い。

私はこの両者(社)の闘いを皮肉っているだけだろうか。誤解無いように言っておくと、それは違う。材料価格の値上げ交渉をしたことがある人なら、誰だってその不毛さに呆れているだろう。「上げてくれ」「上げられない」……。ただし、バイヤーだって彼らのコストが上がっているのはわかっている。それでもなお、会社を背負う調達・購買部門としては上げられない。だから、その「不毛」な闘いは終わることがない。終わるのは、業界トップが妥協したときのみだ。

そもそも原材料高騰は、諸説あるものの、行き場を無くしたマネーが投入されているといわれている。市価の決定には、サプライサイドとデマンドサイドの二つの説明があるが、世界的な投機マネーによって市価が上がっているのだとすれば、それは後者になろう。

すなわち、素材メーカーたちも完成品メーカーたちも、残念ながらグローバル経済のなかで跋扈する投機マネーたちから踊らされているにすぎない。ただ、私の解説は悲観的な側面を切り取っただけで、なんの解決策も導かない。

ただし、一つ見て取れることがある。それは、繰り返し素材メーカーたちと完成品メーカーの闘いではないということだ。これはグローバルな経済のなかで投機マネーが残した傷跡の処理を誰が負担するかという闘いなのである。

第三者の罪であるぶん、その押し付け合いは激しくならざるを得ない。

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