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円安ララバイ
トヨタがホンダがスズキが、一斉に円高懸念を発表した。スズキの鈴木修会長は「深刻に受け止めている」と語り、日銀は金融緩和策を実施すると発表した。鈴木修会長の「民主党の代表戦もいいけれど、日本が倒れてしまったらどうしようもない(大意)」という言葉は、その苛立を象徴している。
ここで、日本の貿易において、使用通貨を見てみよう。まずは日本からの輸出で使われている通貨だ。
・対アメリカ:米ドルが86%、円は14%
・対EU:ユーロが50%、円は30%
・対アジア:米ドルが50%、円は48%
ここで対アメリカはドル建てが86%と予想通り高い。しかし、やや意外なのが、対EUにおいて円建てが30%も使われていることだ。特に対アジアについては円建てが48%と高比率になっている。
次に日本の輸入に対する通貨を見てみよう。
・対アメリカ:米ドルが78%、円は21%
・対EU:円は58%、ユーロが28%、
・対アジア:米ドルが71%、円は27%
ここでやや意外なのが、EUからの輸入において円建てがかなり多いことだろう。輸入については円建てで行っていれば当然、円高のメリットは享受できない。また、対アメリカについても輸出と比べてドル建ての比率は下がっている。ただし、アジアは米ドル建てが大きいので、メリットは享受できていると思われる。
(取引条件もあるから一概にはいえないけれど)こう考えると、日本企業がアジアシフトを加速していることがよくわかる。
円高はたしかに既存の経済構造を見ると暗い要因だ。しかし、個別企業の努力しろはまだ転がっている。円高を少しでも利益に変容させる努力。それは、きっとアジアに答えがあるのだろう。
おそらく、この円高問題が要請しているのは、産業構造の大変化にほからない。