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効率化の本質を考えるバイヤー
桜も散り始めて、何か新年度が本格的にスタートした気がしている。といっても、私の働いている会社は9月末が本決算で、今やっている仕事が「サプライヤー開拓」という、日々の生産とはちょっと離れてしまっている為、実情としては、新年度ではない。でも、気分だけ新たになっている。
新しい年度が始まれば、サプライヤーの皆さんから購入している金額も、継続購入であれば一円でも安く♪したいのが、バイヤーの心情。量産品の購買業務をやっていた頃は、継続購入品の原価削減がメインの仕事だったので、その仕事に割く時間も多かった。私がバイヤーになりたての頃は、パソコンは使っていたけれども、システム間のつなぎが無くて、例えば購入部品のリストも、紙でアウトプットされたものを、すべて手打ちでエクセルに再入力していた。今思えば、当時もある仕組みを使えば、CVSベースでのデータの吸出しはできたらしい。そして今では効率化を求めた自動化が進んで、バイヤーがアイテムのチェックを行うだけで、サプライヤーの皆さんへ見積依頼が行えるようになっている。しかし、正直あまり良かれとは思っていない。
効率を求めて自動化したのは素晴らしいと思う。一定の予算を投下した結果、自動的に見積もり依頼ができるってことは、バイヤーには何にもまして有り難いことだから。でも果たして本当にそうだろうか?
問題なのは、効率化したことで新たに創出された時間で、バイヤーが何をやったか?が問われなかったことだ。成果が問われない予算なんて、年度末の道路工事みたいで、決して意義の有る話ではない。効率化というなら、その新たに見出した意義で、その予算の有効性を問うべきだが・・・・・・どこぞの役所と同じように、予算を消化したらそれで終わりになっている。
そしてもう一つ、効率化のマイナス側面として、購入製品一点一点へのこだわりが減ったことが挙げられる。私の経験でも、リストを参照しながら、
・前年度購入コスト
・今年度想定数量
の2点を、エクセルのフォームにインプットしていた。それが二回三回と回を重ねていくごとに、インプットしながら「ん?!何かおかしい」と思うアイテムを必ず見つけることができた。そんなアイテムは、想定数量が異なっていたり、参照してはならない試作時点での単価を採用していたりといった単純なシステム的なミスなのだ。でも自分で思った「おかしい」を、確認していく過程で、いろいろなアイデアも浮かんだし、新しいことを学ぶこともできた。自動化された今でも「チェックしなさい」とは言うが、別に手を動かすわけではないので、同じようなものを求めることはできない。まぁそうならないように、新たな仕組みを作ればいいわけだが、残念ながらそこまで昇華させているとは思えないのが実情だ。
効率化とは、効果は最低でも同じレベルにして、やることを減らすのが狙い。効率化の結果、アウトプットが減っても、他の部分で大きなメリットを享受していれば、まぁそれもいいだろう。でも「気づき」のチャンスを失い、メリットも測ることの無い効率化って、本当に効率かなのかな?本質を見据えるのは難しいけれど。