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半導体納入とサプライヤー選定
日産のカスタムIC納入遅延問題で、どうやら8月からは正常納入がはじまるという。多くの報道で、「STマイクロ」という固有名詞が書かれているので、もう発表して良いものかもしれない。
ただ、多くの報道で「他社が複数購買だったのに対して、日産が1社購買だったから、納入遅延が生じた」と書かれているのには違和感が残る。以前も書いたとおり、ここには誤解があるようだ。「他社が複数購買だった」といっても、同じICを複数社購買している事例はほとんどない。実質上、一つのカスタムICにおいては、1社購買が普通だ。カスタムICのマスク代を知っている人であれば、それを複数作成するのがどれほど高額かわかるだろう。
また、1社購買であったとしても、ほとんどのサプライヤーの部品は遅延なく納入されている。このことはどう説明するのか。説明できないだろう。もともと、1社購買が基本であるところに、ある種の誤解が生じたと考えられる。
私にはもっと単純なところに問題があったように感じられる。
それは1社購買と複数社購買の違いではなく、単なる生産上の問題である。生産管理、納期管理の問題だ(S社の)。そこを解決しないと、正しい問題解決ではないと思うからだ。
また、この問題は「行き過ぎたコスト低減」とも関係がない。「行き過ぎたコスト低減」ならばどこでも目にすることができる。しかしこれも、ほとんどの部品は遅延していない。そもそも、コスト管理と納期管理が、サプライヤーのなかで別部門になっているので、あまり影響を与えない。
納期遅延を購買の方針ミスであるかのように報じられることには同情を禁じ得ない。
納期タイミングや発注量、あるいは事前の合意、または生産管理の問題等が論じられるべきであって、サプライヤー数ではない。
日産、日立がんばれ、と私は申し上げたいのだ。