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売上はすべてを解決するのか
いま、二つ盛り上がっているところがある。「家電」業界と「ビール」業界だ。猛暑のせいだろうか。昨年と比して2~3割の売上増だという。
まさか、とは思うが、まるでこの猛暑は不況の日本経済を救う「神の手」かもしれない。私はそれほど宗教家ではないが、そうと信じたいほどのタイミングだった。
企業はどこであっても売上がほとんどの問題を隠蔽するといわれる。売上さえあがれば、多くの「困りごと」は失念される。コスト削減だってそうだ。「これまでコストが垂れ流しされていた」と、常に過去形で語られる。そのときには売上が高かったので、そんなことに気づかずにいたというわけだ。
そう考えると、コスト削減に注力するのは、ある程度「企業の成熟期」か「不況期」のどちらかだと想像できる。その二つのタイミングか時期でなければ、コストの垂れ流しなど気づかれないのだ。
猛暑というのは、一つの売上増のきっかけではある。しかし、それは問題を完全解決するものではない。たとえば、産業構造。家電が売れることで、そもそも家電を作り続けることの是非は問われない。私は家電の継続生産を否定したいわけではない。その問いの存在自体の消去を問題にしているのである。
もしかすると、この猛暑で売上が上がることにより、これまでの問題が忘却されている企業があるかもしれない。現在の好調は、既存の「問題点」を隠蔽する。
猛暑で商品の売上が好調なのは良いことだ、と素直に私は思う。しかし、同時に「売上だけがすべてを消す」風潮にも異を唱えておきたい。
暑いからビールは飲むけどね。