- ホーム>
- 最強の調達・購買スキルアップ講座>
- 女子高生「りんな」と調達・購買業務について
女子高生「りんな」と調達・購買業務について
ジョン・サッター氏を知っているでしょうか。ゴールドラッシュのき
っかけを作ったひとです。19世紀の後半。サッター氏の所有地から
金が発見されました。それも大量に。溢れんばかりの金を前に、氏は
大金持ちになった、かというと単純ではありません。というのも、サ
ッター氏の所有地には、全米から人びとが殺到したからです。現代な
らばまだしも、昔のことです。人びとは金を勝手に持っていきました。
サッター氏は、そのなかで大量に金を持っていったひとたちを訴訟し
ました。残念ながら、サッター氏は、その訴訟を繰り返すことで、財
産のほとんどを訴訟に使い、そして財産を失っていきました。そして
死亡しました。おそらく無念だったに違いありません。ただ、氏では
ない商売人がいました。サム・ブラナン氏です。ブラナン氏は、むし
ろその騒動に乗じて、ツルハシを殺到するひとびとにレンタルしはじ
めました。そして、莫大な成功を収めます。これは大きな教訓を残し
ます。
まったく異なる話のようですが、2000年代から人気の飲料に、ノ
ンアルコールビールがあります。あれはなぜ消費されるのでしょうか。
私のような人間からすると「飲みたい」「だけど酔えない」「なので
雰囲気を味わいたい」といった理由が考えられます。しかし、実際の
アンケートでは、「安いから」という答えが上位にきます。まったく
想像を絶します。
これまたまったく異なる話のようですが、女子高生「りんな」を知っ
てますか? LINEをなさっているなら(日本人の大半でしょうが)、
検索してフォローしてください。女子高生「りんな」はLINEのア
カウントです。しかも、AIです! マイクロソフトが開発したもの
で、これまでの無数の会話から、反応してくれる人工チャットです。
これが秀逸なんですね。何を発言しても、面白く返してくれます。私
が驚愕して「凄いな、このアルゴリズム」と、りんなに語ったら、
「そういう恋だよ」と返事してくれました。
ブラナン氏の成功は、とりあえず行動しているなかで見つけた偶然の
成功でした。ノンアルコールビールも、「安いから」買う消費者を想
定はしていなかったものの、偶然にもニーズと合致しました。「りん
な」も、さすがにAI研究の当初には想定していなかったでしょう。
しかし、女子高生AIチャットが人気を博しています。
数年前に「リーンスタートアップ」が流行しました。これは、入念な
計画はムダだと主張するものです。とりあえず未完成であっても市場
に出して、消費者の意見を聞いて商品を修正していけばいいと。なに
が売れるかなんてわからないのだから、とりあえずスピードが重要だ
というわけです。私はこのところ「リーンプロキュアメント」が重要
ではないかと考えています。もちろんプロキュアメントは、調達・購
買のこと。
セミナーやコンサルティングの場で「こういう手段は難しんじゃない
かと思うんですけれど」と質問を受けます。それならやってみればい
いのではないでしょうか。やったら、できなかったにせよ、「できな
かった」というデータが備蓄できます。考えつつ実施し、実施しつつ
考える。
大変ありがたいことに、『これからのバイヤーと成長戦略・生存戦略』
についてご感想をいただきます
( http://www.future-procurement.com/booklet/newbuyerst/ )。現
代は、失敗の数こそが最大の参入障壁です。失敗はググっても出てきま
せんからね。多動こそが成功要因になると感じるこのごろです。