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女性を困らせる電子調達(2)
よく考えれば当たり前のことだった。
私の部品だけではない。
全ての部品にわたってそのwebページは使われなかった。
思いつくだけでこれだけの失敗点がある。
・バイヤーがそもそも製品知識に乏しく「標準部品」など選択できるはずもなかった。
・バイヤーが設計と仲良くもなく、勝手な思いが先行していた。
・カタログ、といってもいつ変更されるか分からず、最新情報はメーカーに聞くという当然の行為が無視されていた。
・「標準部品」など日々変化するくらい技術の進歩速度は速い、という認識がなかった。
・全社的な合意がなかった。
当然であった。
コンサルタント(当時は某鉄鋼メーカー系のコンサル会社だった)がやってきて、「はい、こういうシステムが出来れば在庫もなくなりますよ。部品の集約ができますよ」と言って、それをお願いする企業がある。
そんなの絶対に上手くいくはずがないのだ。
失敗するに決まっているのだ。
この試みは当時、イントラネット上のページから部品を選択し、そのまま発注できERPにつながるシステムであったのだが、一体会社はいくら使ったことだろう。
システムを導入するだけで変革を起こすことが可能である、という「素晴らしい」思い込みの経営者が多くいるからまだこういう商売が儲かるのだろう。
・・・・
その後、私は解決方法を生み出した。
単に設計者に「どういう部品を使おうか」と訊きに行くということだけだった。
それで何回か議論して、エクセルで表を作り、毎期ごとにサプライヤーからコストを入力してもらう。そして、それを毎期ちゃんと設計者たちに送付する。
そして新製品情報があったら毎回送ってあげる。
これだけだった。
何千万円のシステムでなく、今あるパソコンだけで出来た。
そんなもんだった。
それだけで、多くの設計者が意見を聞いてくれた。メールをくれた。電話をくれた。会議に呼んでくれた。
これ以降、私は「バイヤーの社内的な顔、社外的な顔をアピールすること」を意識しないコンサルタントは根源的に信じることができなくなった。
非常に批判される意見だが、私は何百万円かけたサプライチェーンの納期改善プログラムよりも、営業マンのアシスタントをしている女性へ持って行く数百円のケーキ代の方が納期改善に有効であることを知っている。
・・・・
今まで手書きでやっていた発注書をデジタル化することによって、購買業務は飛躍的な効率化をはかった。
今までFAXで問い合わせていた質問を、電子メールで代替することによって業務は最高なスピードを手に入れた。
もしそうであれば、次は逆説的な試みを開始すべきではないか。
他社がIT化、デジタル化しているところをアナログ化をする。時代に逆行することに新たな意味を発見すべきではないか。
IT化、デジタル化している中で、再度アナログ化したほうが効率がよい業務は多くある。非常にある。
現在の業務を疑ってみるのだ。
まずはサプライヤーを評価する前に、自分の業務自体を評価してみたほうがいい。
その先に、業務の効率化がある。
なによりもあなたより安い給与で、報われない徒労を続ける庶務の女性を増やしてはいけない。
「バイヤーはアナログ化で、周囲の女性の業務を減らしてみろ!!」