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市場の高騰は予想できるか
先日、私(坂口)とある経済学者が対談を行なった。ビジネス系の対談には珍しく「(笑)」が絶えないものだった。対談自体は2011年の初頭に発売される。
そこで盛り上がったのは「株価を予想できるか」という話題だった。私が繰り返し書いているけれど、株式市場は予想できない。予想できる、という相場師が多いけれど、そのほとんどに根拠は乏しい。もし100%市場を予想できるという人がいたら疑ったほうがいい。すでに経済学的には結論がでているけれど、二人の結論は「株価なんか予想できない」であった。
そんなときに削られた一文があった。「上昇すると予想できるのは、いまでは商品市場<金>くらいじゃないですか」と。もちろん削られる理由はわかる。株価が予想できないというのに商品である金の相場が読めるというならば自己矛盾にほかならない。
と思っていたときに、一つのニュースが飛び込んできた。
というのも、国内外の金や銅等の相場が上昇しているのだ。国際指標であるニューヨークの先物相場は過去最高になった。それは単一市場のみにとどまらない。ロンドン金属取引所でも銅地金現物が高値をつけたし、他の市場でも同様だった。
これはマネーの行き先がなくなっていることの裏返しでもあるだろう。現物・商品への回帰はかつてから言われていた。だから上昇したことにはあまり不思議はない。
ここで私は自分の発言がやはり正しかったといいたいのだろうか。そうではない。短期的な市況であれば、占いと同じく当てることができる(こともある)。しかし、それは絶対的ではないので、やはり「市場なんか予想できない」ことには変わりはない。
ただ、と思うのだ。上昇時に備えてなんらかの対策は必要だろう。そのために各社はプットやコールオプションなどの手法を多様化させてきている。
商品市場は上がりゆく。しかし、それは占いのレベルでしかない。あとは、その占いの結果を前にいかに動いてゆくかだ。それは変化を当然とする市場の前に佇まないといけない私たちの流儀でもある。