彼女が現場で着替えたら(2)

彼女が現場で着替えたら(2)

  ここからは、仮説に入る。

私は「現場を知らない人が購買のトップになるほど、戦略が飛躍しすぎるのではないか」という仮説を持っている。

自分たちが今付き合っているサプライヤーのこともよく分かっていないのに、突然部下に「東南アジアや中国から輸入を検討せよ」という。

身近なサプライヤーを安くする戦略もなく、突如、中国やらアジアやらに発想が転換してしまうのだ。

このまま突き進めば、「見た目のコスト」は安いが、納期と品質でトラブル続きの「素晴らしき取引関係」が成立することになる。

そのことでまたバイヤーが忙しくなったりして、なかなかよくある光景ではある。

そもそも50km圏内のサプライヤーの改善もしないで、中国とは飛躍しすぎなのだ。

まずは、身近なところから改革を起こす。

そして、次に日本国内で候補がいないかを検討する。

真剣にやれば、相当安価で質のいいサプライヤーが発掘できるはずなのだ。

そのことが、逆説的に中国のインフレ以後に最も国際的競争力を持つ可能性があることを忘れてはいけない。

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輸入をすることが目的ではない。

安く品質のよいものを調達することが目的だ。

たまにいる「外国人とコンタクトをとるのが大好きなバイヤー」のために輸入は促進されるべきでもない。

したがって、実は何もしらない国内のサプライヤーの現実、現状を知るところからコストと品質の可能性を見出すべきではないだろうか。

「それは本当だろうか」

「それは本当に現場で実際に起こっていることなのだろうか」

こういうことを自問して、自答して、本当の正しさ、を探していくべきではないだろうか。

そして、若手バイヤーの教育とは、メールと会社を離れたら全く使えない社内ルールを教えることよりも、こういうことが優先されるべきではないだろうか。

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彼女が水着に着替えたら、90年代の皮相的なバブル文化が誕生していった。

極限まで皮相的で、透明に近い人間関係と雰囲気に包まれた00年代の文化を静かに打破するのは、どこまでも愚直で真摯な現場の知ではないだろうか。

現場で作業着に着替え、実情をしる姿勢ではないだろうか。

そして、その姿勢を皆が身につけることではないだろうか。

一旦、現場を離れて、冷めてしまった人たちも、もう一度熱くなってみるべきではないだろうか。

インターネットオークションとメールとネットと。

e文化が今後も拡大していく中、生身のバイヤーが付加価値をつけていく道程は、そのようなものとしか、もはや私は信じることができない。

「鉄は熱くなるまで打とう」

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