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感動した工場 ~「5S」の重要性
国内、海外含めいろいろな工場を訪問しているが、「感動する」工場ってのは本当に少ない。私が最近感動した工場と言えば、残念ながら海外の工場である。
その工場は中国に変わっての日本企業の進出先として注目を受けている国にある。発注している製品は、アルミの精密鋳造品。形状の複雑さから、国内のサプライヤーでも製造できるところが少なく、まさにバイヤー泣かせの製品である。
訪問したのは日本で取引のある会社の現地工場。その工場が実践していたのが、徹底的な5Sである。日系の海外の工場で「5S」を行うことは珍しくないが、この工場の徹底ぶりには驚かされた。
まず玄関には下駄箱の使い方が写真と説明文入りで掲示。廊下の歩き方、ロッカーの使い方・・・何もかもが写真+説明文で徹底されていた。下駄箱にこれ以外の使い方ってあるのかな?と思ったりもしたが、異なる文化を持つ国での”躾”にはこの位必要とのコメント。従業員の5S活動へのトップマネジメントの熱意は相当なモノであった。
現場を歩いていれば・・・私は何百回も「御安全に!」と挨拶され、ある工程に立ち止まって、その作業を右から、左から、逆側から見て、同じ作業員から3回「御安全に」と挨拶された。そこまで極端にしなくても・・・と思ったりした。ただそんな活動は、現場に製品にその成果が如実に表れていた。
現場は整理整頓され、清掃も行き届いていた。確かに精密部品だが、鋳造工場である。私はあんなキレイな鋳造工場を見たことがなかった。クリーンルームか・・・なんて書くと???なんて思うかもしれないが・・・ そして製品の品質も非常に高く、掛け値無しに素晴らしい工場であった。
工場内に「5S」の内容が掲げられているのは多く目にする。今回紹介した工場にも至るところに「5S」掲示はあったが、そんな掲示よりもその精神を従業員へたたき込もうとのトップの姿勢に感動を覚えたのが本当のところ。私が「気持ちの良い工場ですね」と話をしたときの、相手の工場長の嬉しそうな笑顔がとても印象的であった。
「5S」がどのように高品質に繋がるのか?直接的に線で結ぶ事はできないが、写真とその説明で実践される一つ一つの積み重ねによって、従業員へその魂が宿り、製品へ反映されるのであろう。ともあれ、初めて5Sの実践を如実に感じた工場訪問のお話でした。