日本の自動車産業調達はやはり1位なのか

日本の自動車産業調達はやはり1位なのか

先日、嬉しい報道が目に止まった。米調査会社のプランニング・パースペクティブによると、「日米完成車大手6社に対する好感度ランキング」(サプライヤーが投票)で、1位はホンダで、2位はトヨタ、3位にやっとフォードが入り、4位は日産だったという。

これは営業パーソンに向けたアンケートであるために、生産部門や技術開発部門を含めると違う結果になる可能性はある。とはいえ、これが一定の傾向を示しているとはいえるだろう。

このアンケートで上位になるためには「コスト削減や品質向上に向けた支援」や「サプライヤーにとっての利益獲得機会」という項目で高得点をとる必要がある。日系の自動車メーカーの調達・購買部門は、その意味でたしかにサプライヤーに厳しいだけではなく、利益創出の姿勢を持っていると評価できるだろう。

同じく、自動車部品メーカーのミツバも、期を同じくして「主要サプライヤー14社に対して生産コスト低減の改善活動を支援する」と発表した。完成車メーカーからの部品受注量が減っている中、利益減少を川下のサプライヤーに補填させるのではなく、運命共同体の構成員としてお互いにこの時代を乗り切っていくという試みである。これはミツバだけではなく、さまざまなメーカーがサプライヤーとともに取り組んでいる。

サプライヤーを「他者(他社)」とみなすのではなく、自社工場の延長としてとらえる。言葉は悪いが自分の体の一部と解釈するのであれば、サプライヤーに対する態度は「交渉相手」ではなく「共存相手」ということになる。日本の自動車産業は、「系列切り」や「徹底競合」の時代を経て、ふたたび手厚い支援をベースとしたサプライヤーとの「相思相愛関係」に戻ろうとしているのか。

これは私が以前から主張している「戦略的癒着」の関係に戻ることでもある。確信のある自己流は、いつでも王道に勝る。欧米流の調達・購買においては、サプライヤーをいかに「管理」し「使いこなすか」が注目されてきた。それに対して、古き日本流が米国で再評価されていることは示唆的である。

もちろん、自動車産業であっても、その調達・購買が1位であり続けるわけではない。ただ、不景気においてサプライヤーとの共存の試みが注目されるのはある意味必然であった。調達・購買の潮流とは時代によって移り変わるものなのである。

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