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日立建機のすごい技
先日報道を見ていると、日立建機のシステムについての記事があった。同社は、部品発注予測システムを更新し、なんと12ヶ月先の部品需要までをサプライヤー各社に提示できるようにしているのだという。
これはほんとうにすごいことだと思う(ほんとうなら)。なぜなら、サプライヤーにとっては、部材調達(素材調達)のリードタイムのみならず、事業計画を安定的に立てることができれば、劇的に経営の安定度も高まるからだ。
もちろん、精度をいかに高めるかが問題になるだろう。しかし、一年先の需要データがあれば、それは大きな武器にもなりうる。
・納期の改善……精度が高ければ、サプライヤーも素材調達ができるようになるだろう
・価格の安定……安全な生産計画を立てることによって生産コストも低減していく
・責任……サプライヤーに需要を宣言することによって、それを受けたサプライヤー側にもこれまで以上に責任を負わせ、かつサプライヤーに訴求することもできる
では、ここから(ここから書くのは日立建機のことではない)、先行情報の問題点も列記しておこう。というのも、サプライヤーの本音は、「先行情報をいかに活かして良いかわからない」というものだからだ。もちろん、前述のようにメリットはあるし、武器にもなる。ただ、サプライヤーによってはそのような使い方ができない場合もあるのだ。
それは次のような理由による。
買取責任が生じない以上、やはり実発注をベースとした段取りをせざるを得ない
需要数があまりにブレるため、使えない
他のバイヤー企業向けの生産数がブレるため、工場全体としては使えない
逆にいえば、これらをいかに改善していくかがバイヤー企業とサプライヤーの共通課題となるだろう。
先行して需要量データは渡した、でもサプライヤーにとってみればそれは使えない、では何の改善もない。
日立建機が先人として成功することを心から祈る。