機械化はほんとうに悪なのか

機械化はほんとうに悪なのか

先日の報道によると、岩塚製菓が全工程において包装を自動化するという。お菓子の製造で有名な同社である。同社は、包装に加えて、パレットに積載する工程までも自動化するという。目的は当然コストの削減だ。のこりさまざまな工程についても同じく自動化・機械化を推進していくようだ。

このニュースを聞いて、「ああ、また労働者の仕事がなくなる」という声があった。また、同社の取り組みだけではなく、昨今は「自動化」「機械化」は効率向上、生産性向上の意味合いよりも、「人減らし」という側面で受け止められることが多いようだ。

実は、私もそのような論調で書いたことがある。単純作業の労働者の仕事は海外に逃げていかざるを得ないだろう。あるいは、機械に代替されるだろう。そうすると、もっと日本の労働需要は減っていくだろう、と。

もちろん、これは当然である。企業は利益を追求する。人よりも機械の方が安く生産性も良いとわかったら、当たり前ながら機械に切り替える。それはもちろん、既存の作業者が減ってしまうということを意味するけれど、それはしかたがないことだ。

ところで、この機械化は悪いことだろうか。必ずしもそうはいえない。企業の生産性を高めようと思えば、設備投資によるものか、人的なものによるものか、のどちらかしかない。人的なものは人口減少の日本において、しかたのない側面があった。むしろ、日本企業は人口減少を前にして、機械による生産性を高めているということもできる。

また、機械化によって労働者がほんとうに悪影響を受けるかというと、実証することはなかなか難しい。というのも、機械化によって産業全体が安価な商品を提供できるようになるからだ。マクロ的には、労働者の給与水準はたしかに下がっているものの、生活に必要な各種財の価格レベルはそれ以上に下がっている。

機械化はこうやってみると、生産性向上をもたらす一つの施策である。なるほどマクロはわかった、でもミクロとして労働者個人とすればどうすればよいかって? それはもちろん、機械に代替できない仕事を模索することだ。

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