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消費者が高い商品を買うことはあるのか
この世の中は二つの側面がある。一つは成功談としての。もう一つは悲劇談としての。この世の中はゼロサムゲームではない。一つの企業の利潤は、もう一つの企業にとっても、利潤をもたらす。しかし、資源・穀物については、必ずしもそうではないようだ。むしろ、ゼロサムゲームを奏している。
資源・穀物のインフレが、かなり多くの企業を痛めつけているようだ。驚くべきデータがある。日本銀行が12月の国内企業物価指数によると、前年同月比1.2%も上昇した。これが驚くべきデータではない。それは、単に値上がりしたのではなく、原材料価格だけが値上がりしたからだ。
内訳を見てみよう。品目別で調査すると、石油・石炭製品が7.8%も上昇している。さらに、非鉄金属は10.9%だ。加えて、鉄鋼10.2%。おそるべき上昇率である。
もちろん、企業物価指数があがっていくのは、経済が成長している意味もあるから、基本的には望ましい。しかし、それが資源・材料・エネルギーというものに特化しているということは、あまり喜べない。ある人の表現を借りるのであれば「悪しき物価上昇」である。
日本銀行が資源・エネルギーを含んだ指標を出していること自体、「デフレを隠そうとしているのではないか」という指摘がある。なるほど、当領域を抜いてしまえば、日本がデフレに歩んでいることがより明確になるからだ。
しかし、日本銀行批判をしたいわけではない。この状況をいかに考えるか。資源や穀物の国際市況は、多くの商品で史上最高値を更新している。原油・ガソリンはいうまでもない。これらを最終商品に転嫁できるだろうか。それはできない、と多くのマーケッターはいう。そうすると、しばらくは「材料は高いが、消費者からはお金をもらえない」状況は続かざるをえない。そうなると、どうなるだろう。国々は、「材料利権を握るか、そもそも材料など使わない(脱・製造業)道しかない」と気づいた。
日本はどちらの道に進むべきだろうか。