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第1章 座談会 5.●上司との恋②
鈴木 私は入社したときに舶用機械関係の営業だったんですよ。で、海の世界はむっちゃ男の世界だから、女性の営業マンは、全社的にも初めてだった。「女の子なんて初めて!」って、嫌がるところは、相手にもしてくれないし、船にも乗せてくれない。嫌がらないところは、マスコット的に受け入れてくれて、若い女の子が来たって……
坂口 今でも若いですよ……
鈴木 若くないですよ(笑)ありがとうございます!
斎藤 みんな喜ぶんだよ、そうやっていうと。わかっていてやってんだよ。
鈴木 そんとき凄くむかついていて……私違うのに!そういうのじゃないのにって。でもなかなかうまくいかなくて、だったら女性って可愛がられているうちに、可愛がられているのをアピールしながら仕事しちゃえ!って切り替えて、飴あげるよ……なんて言われながら仕事していたら、だんだん信頼された。大きな仕事も任されたし。
坂口 斎藤さんの上司は暇なのか? 忙しかったら、部下の仕事なんかかまっていられない。
斎藤 暇なんだよ。そしてなぜか私の電話だけ良く聞いている。
中広 好きなんですよ
鈴木 上司に好かれて困る女性バイヤー
斎藤 新しいアイシャドウを買って、つけているかどうかわからない顔なのに、会社に行くと「目の上に青たんつけて」って言われる
鈴木 それって中学生が好きな女の子に意地悪するみたい
坂口 その上司って何歳?
斎藤 私の4つ上
坂口 ってことは、20歳と24歳?
鈴木 なんでわざとらしいかな
斎藤 気になるんだな……いっつも私だけ怒られる
鈴木 女性の部下は斎藤さんだけ?
斎藤 彼の部下は……5人、男の部下は一人しかいない
藤野 それもすごい
斎藤 いつも怒られるのは私で、立たされて叱責される
斎藤 すると、周りの女の子は「斎藤さん、何やっちゃったの?」って言われる。周りの女性の方が、もっと凄いことやっているし、横柄な態度も取っているのに……
鈴木 セクハラみたい、好きな娘に
藤野 特別扱い
斎藤 そうそう、二人で飲もう! とは私しか言われない
鈴木 怖い!
坂口 それって、行くの?
斎藤 行きますよ
坂口 あぁ、行くんだ
斎藤 すごく嫌いな人で、ああやって叱責しながらも、私の話は良く聞いてくれる。他の女性の誰よりも……
坂口 ちょっと待てよ……良い上司か悪い上司かわからなくなってきた。ちょっと混乱するなあ
斎藤 個人的には……
鈴木 嫌いなのだけど、話は聞いてもらうんですよね?
斎藤 私は褒められて育ちたいのだけど、彼は怒れば育つと思っている。
一同 あーぁ
斎藤 お前ならできるよ……って言って貰いたいのに、何でできないのだよって言われる
りょうま ほっとけないんじゃない?きっと多分……好きなんだよ
坂口 好きなんだな
一同 笑い
坂口 その上司が、斎藤さんのこと好きだと思う人?
(斎藤以外の全員が手をあげる)
満場一致のようだ。
斎藤 私は嫌いだと思う
鈴木 私の事好きかも……と思えば気が向くじゃないですか?
斎藤 嫌いな人に好かれたくない。私は本当に人間的に嫌いなの
鈴木 私のこと好きなんですか?って聞いてみれば?
坂口 それ、逆セクハラ。
鈴木 飲みの席なら言える
斎藤 私の好きな人には、好きなんですか?て言えるけど、嫌いな人には言えない
鈴木 そういって、そうなんだ……やっと気づいてくれた……っていうのも怖い
斎藤 何にも始まらないよ
坂口 この本の帯に「上司との恋」ってつけましょう