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絶望感と使命感と(2)
私の会社はそののち通常のレベルのシステムに移行し、笑ってしまうようなエラーや突発処理はだいぶなくなった。
それに、部員も増加傾向にあったことから、業務は相対的に減っていった。
転職も経験し、より上位の業務に携わるようになっていった。
私程度の経験ならば少なからぬ人が持っているのかもしれない。
「そんなの甘いよ」と冷笑する人もいるだろう。
土日を全て会社のために捧げ、それでもなおパワフルに自己の夢の実現に向かって進んでいるバイヤーを私は知っている。
それでもなお--。
この経験が私の「購買というもの」への考え方に決定的なインパクトを与えた、ということ。
これは事実だった。
それは「購買を変えなければいけない」という強烈な意識だ。
考えてみるに、色々なことにすぐに傷つき喜んでしまうという敏感な感受性を持っていた私は幸福であった。
「自分」という些細な存在の不遇だけを出発点として、購買界の革命を志すのだから。
・・・・
購買というセクションは影武者として各部門をサポートするところとして認識されてきた。
だが、今は購買というセクションが徐々に注目を集めてきている。
新聞紙上には「共同購買によるコストダウン」が報じられ、購買活動によるキャッシュフロー改善が論じられている。
ただ残念なことに購買に属す一人一人が時代と共に変わってきているとは思えない。
元々各部門から「エースであることを止められた」人たちが集まってきていた名残だろうか。
隣を見れば、現場上がりのインテリジェンスのひとかけらも感じられないオヤジが座り、前を見れば取引先との接待ででっぷりと太った課長が座っている。
新人の常識から業務のやり方を批判すれば、「わかってないな」と諌められ、理想だけの購買論を語っていけるだけの甘ったれた雰囲気だけがある。
そこには未だに、会社の花形として活躍してやろうという気概がなく、「まぁ購買なんてこんなもんだよね」とでも言いたげな自虐の気持ちが漂っている。
・・・・
世界を見渡せば、購買部員(=バイヤー)は一つのプロフェッショナルとして確立されている。
ソーシング、パーチェシングのマネージャーとして各企業を渡り鳥のように移り歩く職業人もいる。
日本ですら、今後BPO(=ビジネスプロセスアウトソーシング)の広がりによって購買自体を外注していく企業の増加が予想される。
とすれば、会社として、不要な購買部員など雇わずに外部サービスを使った方がよりよい効果を得ることができるならば、購買部を持たない企業がこれまで以上に増えるだろう。
これまでサプライヤーの前で机を叩いていればよかった購買部員は消滅してし まうのである。
キャリアの構築を今まで以上に考える必要が出てくる。
だが、そのような世界的傾向に絶望することはない。
ほんの少しの努力と勉強と実践と熱意があれば、バイヤーの中では頭角をあらわすことができる。
バイヤーに必要なのは、買うという行為を通じて、自己を売るという挑戦だ。
私は転職案内を見たときから、そのことを考えている。
「バイヤーは買うのを止めろ!! 自己を売れ!!」