設備投資に喜べない私たち

設備投資に喜べない私たち

ニュースは読む人によって姿を変える。一つは喜劇として、もう一つは悲劇として。

先日、明るいニュースが飛び込んできた。日銀が発表した「企業短期経済観測調査」によると、2010年度の設備投資計画が、前年比で上方修正されたのだ。

ここで日本経済の復活を祝うことができるだろうか。

水さすようで悪いけれど、私は楽観視できないと考えている。その内訳が微妙だからだ。データを見てみよう。まずは大企業のデータだ。

・製造業: 2.9%増

・非製造業:3.0%増

と非製造業により増加傾向が見える(やや、だけど)。次に中小企業のデータだ。

・製造業:8.3%増

・非製造業:16.1%減

と大幅な違いが見える。これらを合計すると、中小・全産業はなんと8.3%減になってしまっている。この設備投資の復活は、大企業を中心とするものであり、中小企業の復活ではないことがわかる。

もちろん、景気の回復は大企業が先導するという側面もある。ただし、垂直分業がさかんな日本においては、中小企業の弱体化が大企業の復活に寄与しない(できない)ことが予想される。

もちろん、大企業は海外を中心として非製造業分野でLCCへの発注を増やしているから上記の結果は当然だろう、とする向きもある。ただし、それはほんとうに「当然」なのか?

先進国では、中小企業の設備投資が伸びているところもある。それは、産業全体のoptimize(最適化) ができているところだ。それは一言でいうと、垂直分業ではなく水平分業であり、中小企業が大企業依存から脱しているところだ(ご興味のある人は調べてください)。非製造業分野の設備投資の落ち込みは、かなり興味深いことを示唆してくれる。製造業分野ではかなり水平分業やLCC調達が進みつつある。そしてそれは、非製造業分野にも及ぼうとしているのだ。

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