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調達が変わるニュース
先日、びっくりするニュースがありました。「1年で設備償却可能に 経産
省、14年度改正で要望へ」というのです。これが実現すれば、かなり企業運
営に変化が出るはずです。そして、調達・購買も変わっていくでしょう。
この記事が伝えるとおり、本来であれば設備償却は何年にもわたってコスト
計上するものです。実際には、多くのお金(キャッシュ)が流れだすのに、
コスト(減価償却費)として計上できるのは、わずかにすぎませんでした。
しかも、法定償却年数は、実際の耐用年数よりも長いのが一般的ですから、
企業としては不景気になるほど設備投資に躊躇してしまっていました。
それが、1年で設備償却可能!になれば、三つほど変化があるはずです。
一つ目は、設備投資が加速することです。減価償却費を1年で一気にコスト
計上できれば、税金が安くなります。これまでの投資戦略とは違ってきます。
悪い言い方をすれば、過剰利益が出てしまったときに、設備購入によって
「ムダ使い」も増えがちになります。が、どちらにせよ、サプライヤマネジ
メント観点からは、調達・購買部門が、サプライヤ設備投資をこれまで以上
に把握する必要があるでしょう。
そして、二つ目。これ以降は、すぐに理解できなくても、あまりお気になさ
らないでください。それはコスト査定の問題です。サプライヤの減価償却が
1年になったからといって、コスト査定が大きく変わるとは思えません。た
だ、理論的には「償却済設備」ばかりになるはずです。そうなると、査定上
(管理会計上)のコストと、財務会計上(あるいは税務会計上)のコストと
は、大きく隔たることになります。
これはきわめて大きな問題を包括しており、結論だけを申せば、「査定して
も、財務会計上のコストに近づくことは論理的に不可能」となります。だっ
て、1年目にしか財務会計上のコストはかからなくなりますからね。意味が
わからない方も、ちょっと考えてみてください。
そして最後の三つ目。コストを過剰に積み上げられる以上は、利益率が下が
ってしまうはずです(短期的には)。この点は一つ目と近いかもしれません。
サプライヤマネジメントの一環として、調達・購買担当者は財務状況を把握
すべきです。その意味で、私たちは税法改正にも目を向けていなければなり
ません。