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調達・購買とは何をするのか
バイヤーの仕事は、(1)高い品質のもの (2)最新の技術を有するもの (3)業界最安価なもの (4)納期が短いもの という四つの、ときにお互い矛盾する要求を、可能な限り満足させる製品を市場の中から調達することです。
しかし、調達・購買部門は、多くの場合は、単なる買い物役としか認識されていません。社内から依頼のあったモノを、交渉して多少は安く買ってくる部門程度にしか思われていないことがほとんどです。
しかし、本来はそうではありません。会社の支出の面倒を見る門番として、良い製品を、安い価格で、永続的に購入することに責任を持つべきです。そして、そのためには、多方面の知識を持ち、目標達成のためにはあきらめず、問題・課題に取り組む姿勢が必要になります。
技術のことであれば設計部門に訊けば良い。品質のことならば品質管理部門に聞けば良い。納期のことなら生産管理部門に訊けば良い。価格トレンドのことならば、営業マンに訊けば良い。バイヤーが何もしなくても会社はまわります。だから、調達・購買部門の存在意義を分かっていない会社はまだたくさんありますし、存在意義を発揮している調達・購買部門がどれほどあるかというと心もとない状況です。せっかく社内外から質問を受けても、「そういうことは他部門に訊いてくれ」とつっぱねるバイヤーも多くいます。
しかし、本来は、価格の決定権を持っているのも、サプライヤーを決定することも、自社にどのような技術を取り込むかを戦略立てることも、調達・購買部門の仕事です。
価格は設計者が納得したら良いものではありません。バイヤーに技術的・品質的なことは無関係ではないのです。これらに主体的に関わっていく必要があります。関係部門と密なコミュニケーションをとり、連携し、買うという行為を通じて自社の活動に寄与していくことが求められているのです。
喜びのない仕事をし続けるなんてつまらない。でも、最初はどの仕事もつまらないことばかりです。私のように受難の日々を過ごすことも多いでしょう。しかし、その日々を突破しないことには喜びを創造することもできません。
調達・購買とは、「自分の買っている製品の存在意義」というものを考えていく営みです。 その製品が一体どこの部分で、何という機能を果しているのか。それは、いくらが妥当なのか。その製品がなくなったらどういう困りごとが発生するのか、しないのか。お客にはどのような魅力を提供できるのか、できないのか。そういうことを考えて、業務に自分の色をつけていった先にしか喜びはありません。
私は、月末最終日にサプライヤーへ見積り確認のために車を走らせながら流した涙を思い出しながら、伝えようと思っています。調達・購買のやるべきこと。そして、調達・購買の仕事を通じて喜びを得るための実践術を。