調達問題は、けっきょく政治問題なのか

調達問題は、けっきょく政治問題なのか

先日、アメリカから中国への苦情を読んだ。米通商代表部のことだ。同機構は、中国のレアアースの輸出枠縮小について「非常に懸念している」と述べたという。要するに、「そんなに意地悪しないでね」というわけだ。実際、中国は全世界のレアアースの97%を産出しているといわれている。アメリカが微妙な言い回しになるのも理解できる。「さまざまな方面と密接に協力しながら対応する」と述べるにとどまった。

しかし、通常の感覚であれば、「そりゃそうかもしれないけれど、自国の資源なんだから、売ろうが売らまいが、勝手でしょう」という見方もできる。ただ、それはアメリカの思考パターンには沿わない。あくまでも、自国が困っていることは、世界が困っていることであり、世界が困ることは悪であるという認識なのだ。実際に、アメリカは中国のレアアースの輸出制限に関してWTOへ提訴も考慮しているという。

これに対して中国側も、市場への影響を緩和するために、まだ輸出枠を決めていないとしているが、どうなるかはわからない。

さて、このような状況を前にして思うのは、「やはり資源調達問題は、けっきょくのところ、政治問題なのか」ということであろう。レアアース安定調達のために、一人のバイヤーとして何ができるだろう。「代替材料を開発せよ」といったところで、たしかにそれは日本国の問題かもしれないけれど、一企業・一社員としては違う世界の話だ。

ここで、サプライヤーマネジメントを持ち出したらどうだろう。サプライヤーとの関係強化によって、安定調達を図れ、と。それは、残念ながら、たよりない、でも唯一の回答らしい。最後はそこに行き着くのだ。

中国の中間商社や業者に対して、せめて有効な関係を築くこと。アップルがやっているように、サプライヤー側との友好な関係を築くこと。これくらいしかバイヤーの解はないだろう。私は、「やはり資源調達問題は、けっきょくのところ、政治問題なのか」という疑問をあえて保留しておいた。もしかしたらそうかもしれない。しかし、一人のバイヤーとして実施できることは、ベストを尽くすだけだろう、という凡庸な回答だけは提示しておこう。

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