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調達部員がミャンマーに注目せざるをえない理由
先日、シンポジウムの司会をしました。AECについてのシンポジウムです。
2015年からいよいよAECが起動します。AECとは”ASEAN ECONOMIC
COMMUNITY”の略であり、アジアのヒト・カネ・モノの自由化を目指すもので
す。
さて、ASEANを語るときに、不思議なのは、かならずどんな書籍にも、
その頂上に中国の昆明が載っています。まずここで気づいてほしいのは、昆
明の存在なのです。中国のオルタナティブとして考えられるケースの多いA
SEANですが、その起点は、かならず中国なのです。つまり、中国"対"A
SEANとか、中国"VS"どこどこ、というとき、その中国はあくまでも中国
政府であって中国企業ではないのです。その証拠に、ベトナム以外の国は華
僑ネットワークであふれています。
そこで中国が開発しているASEAN地域の道路を見ていただくと、昆明か
ら、ミャンマーに伸びています。これは中国がかなりの投資をして開通させ
ています。さて、なぜ、中国は多額の投資でミャンマーのような「まだよく
わからない国」に恩恵を与えようとしているのでしょうか。
ここで中国の意図を読まねばなりません。
http://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2015fy/000372.pdf
ここに野村総研の面白いレポートがあります。そこで、中国の原油輸入国を
見てみましょう。PDFの34ページ、資料には23ページと刻印されている箇所で
す。不思議な名前が載っています。「アンゴラ」です。
アンゴラ? アフリカのアンゴラです。なぜこのアンゴラとミャンマーが結
びつくのでしょうか。
結論だけを書くと、ミャンマーを経由して、昆明の製品をアフリカに運ぼう
としてる。そして、アンゴラからの原油を引っ張ってこようとしている。つ
まり、これは中国の出口戦略にほかなりません。アジア域内の話をしながら、
これはアジア域内だけの話ではないのです。なぜかというと、ふたたび上記
の図を見てください。ミャンマーがいることで、これまでシンガポール海峡、
マラッカ海峡を通らねばならなかったルートを回避できます。これは中国に
とって異常なほどのメリットです。
では、ここから大胆な予想をしなければなりません。
予想1.ロジスティック上、ミャンマーが中国の出口戦略として位置づけら
れるのであれば、ミャンマーには自動車のアッセンブリー工場などができ、
かなりASEANのなかで高成長国にならざるをえないでしょう。
予想2.そしてその部品サプライヤは、おなじくミャンマー、あるいはラオ
スに誕生していくでしょう。
その他もありますが、まずはこの二つをあげておきましょう。
たとえば、みなさんの会社でも来年あたりにミャンマーの工業地帯を見学に
いってはいかがでしょうか。世界は大きく動いています。そして、ASEA
Nはもっとも動いています。そう、中国とアフリカをも舞台としながら。