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資料を一瞬で作成する方法
先日、27冊目の書籍ゲラチェックを終えました。ゲラとは書籍になる直前
の原稿コピーです。これを見ながら、赤字で修正していきます。人生で一度
くらい書籍を出したいと願うひとが多いそうですが、それを27回もやって
しまいました。1冊の本はだいたい10万字ほどです。400字の原稿用紙
が250枚ですから、気の遠くなる作業ですよね。
文章を書いていると、「よくそんなに書けますね」といわれます。が、その
ひとであっても、「あ」だけ10万字ならば書けるはずです。これは皮肉で
はなく、実際に書けると思います。それは極端にせよ、400字くらいの短
文ならば書けるでしょう。問題は、その短文同士をつなげるテクニックだけ
です。
資料もなんでもそうですが、コツは、すでにできあがっている書籍を模倣す
ることです。たとえば、ドラッカーでもコトラーでもなんでもかまわないの
で、面白いと思った本の構成をそのまま自分の原稿に置き換えれば完成しま
す。内容を真似てしまうと盗作ですが、構成を真似したり文章の書き方を真
似しても盗作にはなりません。
たとえば、大ベストセラー作家の本田健さんの出世作「ユダヤ人大富豪の教
え」は、マーク・フィッシャーの書いた「成功の掟」の構造をそっくり模倣
してます。並べて読んだら笑ってしまうほどです。資料であれば、すぐれた
資料(社内でも社外でもかまいません)を保管しておき、それをひな形にし
て新規資料を作成すると抜群に早く完成します。
私の尊敬する田坂広志さんは著作「なぜ、時間を生かせないのか」のなかで
こう語っています。
<スキルを見様見真似でやってみる。しかし、失敗する。そこで、師匠のス
キルをさらに深く観察して、また真似てみる。やはり、うまくいかず、失敗
する。そうして、表面的にはうまく真似たつもりでも、うまくいかないとい
う体験を積み重ねる。その体験を積み重ねていくと、遂に、気がつくのです。
「師匠の個性」と「自分の個性」の違いに、気がつくのです。>
何万回でも素振りをします。師匠を真似て素振りをします。しかし、どれだ
け素振りをしても、師匠には完全に一致できず、自分なりの型ができあがる。
それこそ「自分の個性」だ、と田坂さんはいっています。逆に、徹底的に真
似とか模倣をしていない状態で、個性などといっても勘違いにすぎないので
すよね。
私は会社員時代に、すぐれた先輩の文章やら資料やらを徹底的に模倣しまし
た。それが現在の自分を作ったといっても良いのです。だから、文章でも、
資料でも、上達したいひとは先輩を真似てください。社内にいなければ、文
章は石黒圭さんの書籍、資料はスライドシェアというサイトをご覧ください。